青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
全米プロ失速は優勝争いの後遺症!?
石川遼らしい、大乱調の中の成長。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byAP/AFLO
posted2011/08/18 10:30
ブリヂストン招待の最終日に続き、全米プロ選手権初日もアダム・スコットと同組でラウンド。予選落ちの石川とは対照的に、アダムは4アンダー、7位で大会を終えた
先行きを楽観するべきなのか、それとも悲観したほうがいいのか。
混乱しそうになるほど浮き沈みの激しい2週間の遠征を終えて、石川遼の今季米ツアーでの戦いは幕を閉じた。
惜敗という言葉がふさわしかった世界ゴルフ選手権シリーズのブリヂストン招待は、米ツアーで初めて最終日最終組で優勝争いに加わった。最終的に5打差4位だったとはいえ、アダム・スコットとの熱戦は、些細なきっかけさえあれば石川に優勝が転がり込んでいてもおかしくはない展開だった。互角とはいえないまでも、大きな可能性を感じさせる戦いだった。
それが翌週の全米プロ選手権では、初日に池ポチャ6回の85と目を覆いたくなるような大乱調である。通算17オーバー、147位での予選落ち。今季最後のメジャーは、前週を受けての期待感があったからこそ余計に、惨敗というにも及ばない屈辱感にまみれた大会になった。
「開幕前は楽しみで不安はなかったけど、今の自分のスイングはまだ練習が足りなくて日に日に変化してしまう。周りの選手に比べて低レベルの話にはなっちゃうけど、まだまだ経験も足りないし、技術も劣ってるとは思ってる」
ブリヂストン招待での優勝争いがまさかの大乱調の要因!?
アイアンショットが散々だった全英オープンの反省とジャンボ尾崎からのアドバイスを受けて始めた「スイング解体」の作業は、始めてから1カ月しか経っていない。ラウンド中に乱れ始めた場合の処方箋を石川はまだ持ち合わせていなかった。
そのスイングの乱れがどこから生じていたのか。それは前週演じた優勝争いの後遺症だったかもしれない。
ブリヂストン招待を終えた翌日の月曜日、石川は激闘と移動の疲れを押してコースに姿を見せた。
「休もうかとも思ったけどコースを見たかったし練習もしたかった。昨日までの1週間、休むことなくスイングを追求してきた流れを途切れさせるのが嫌だった」
「コースは練習場」という姿勢を貫いてブリヂストン招待の4日間を戦い抜いた石川にとって自然な流れの行動だった。米ツアー優勝にあと一歩まで近づいた自分に対して、高まる期待感ももちろんあったに違いない。