MLB Column from USABACK NUMBER

ウッズとA・ロッドを結ぶ「点と線」。
薬剤スキャンダルの新展開。 

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李啓充

李啓充Kaechoong Lee

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posted2010/03/06 00:00

ウッズとA・ロッドを結ぶ「点と線」。薬剤スキャンダルの新展開。<Number Web> photograph by Getty Images

ウッズとA・ロッドを結ぶ「点と線」。薬剤スキャンダルの新展開。

 捜査は“疑惑”の選手本人へ。ボンズ事件の再来なるか!?

 さらに、スポーツ・イラストレイテッド誌によると、捜査当局は、関係選手に対して大陪審への出廷を求めることをすでに通達済みとされ、事件はさらに拡大しようとしている(「大陪審」は日本にはない制度なので、読者にはぴんとこないだろうが、「犯罪が行われた疑いありと起訴するに足るだけの証拠があるかどうか」を審理する機関)。

 というわけで、ガレア医師を巡るドーピング疑惑については、すでに連邦政府の捜査がかなり進行しているようなのだが、薬剤汚染選手にとってこのことの意味は重い。

 これまで汚染選手が問われてきた罪は、薬剤を違法に使用したことそのものではなく、連邦政府の捜査に対して嘘をついたり(例:バルコ社事件で服役したマリオン・ジョーンズ)、大陪審の証言で嘘をついたり(例:偽証罪で公判中のバリー・ボンズ)した罪だからである。

米政府の方針は「HGH 使用撲滅」。MLBも追従の方向へ。

 バルコ事件の際に標的となった薬剤はステロイド、それも通常の検査では検出できない「デザイナー・ドラッグ」だったが、今回の標的薬剤はHGH。これまで、有用な検査法がなかったため、選手にとっては「使い放題」だった薬剤だ。

 折しも2月22日、英国でラグビー選手がHGH使用の廉で2年間の出場停止処分を下された。HGH使用を血液検査で証明した初めてのケースとして世界的な注目を浴びている事例であるが、MLBも、マイナーリーグ選手を対象にHGHの血液検査を導入することを検討し始めたといわれている(メジャーで導入するには選手組合の合意が必要となるが、マイナーには選手組合がない)。

 連邦政府による捜査、そして血液検査の導入と、米国では「HGH使用撲滅」を目指して、二方面からの攻撃が加えられようとしているのである。

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