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マイナー競技の金メダルは中国独占!?
五輪で顕在化する国家スポーツ戦略。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byREUTERS/AFLO

posted2010/02/02 10:30

マイナー競技の金メダルは中国独占!? 五輪で顕在化する国家スポーツ戦略。<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

2009年に開催されたカーリング世界選手権で優勝した中国代表チーム。スキップのワン・ビンユ(中央)、リードのツォウ・ヤン(右)、セカンドのユエ・チンシュアンは、強豪スウェーデンを下しての堂々たる優勝だった

 昨年暮れ、民主党政権になってから「事業仕分け」という言葉が頻繁に使われるようになった。国だけでなく、会社、そして家計にまで……。

 スポーツ界も例外ではない。オリンピックを目指すエリート選手への強化費の助成が減額の方向で検討されたのはご承知のとおりである。

 特にウィンタースポーツは、今度のバンクーバー・オリンピックで頑張らないと、危機的な状況に陥る競技が出てくるかもしれない。

 実は1998年に開かれた長野オリンピックでは40億円の黒字が出ていた。このお金は「長野オリンピック記念基金」として、約10年にわたって強化費や、大会、施設の運営費として使われ冬季競技を支えてきた。

 ところがその原資がそろそろなくなる。マイナー競技ほど基金からの補助が消えると、運営がむずかしくなっていく。

 事業仕分けの席で、「マイナー競技に補助は必要なのか?」という政治家の質問があったと記憶するが、マイナー競技にこそ支援が必要なのだ。フィギュアなどはタレント揃いで、いまのところは黙っていてもお金が入ってくる。地味と思われる競技ほど援助を必要としており、そうしないと日本からその競技自体が消えてしまうだろう。

NBA姚明の生誕には中国の国家的スポーツ戦略があった。

 日本とはまったく逆のアプローチを取っているのが中国だ。もちろん国家の体制は異なるわけだが、中国は今もオリンピックのメダルの数にこだわっている。北京オリンピックでは金メダルの数でアメリカを抑えてトップに立った。

 しかもお金云々ではなく、よりディープな「プロジェクト」を遂行させている。もっとも有名なスポーツ・プロジェクトは、NBAのヒューストン・ロケッツに所属する姚明だ。

 彼の父と母は元中国代表選手で、父は208センチ、母は198センチの長身選手だった。ふたりは結婚を「勧められ」、一子をもうけた。それが姚明で、彼は母親の胎内にいる時から上海の体育関係者にモニターされていただけでなく、生まれてからも定期的に骨密度を計測された。つまり、生まれる前から姚明はバスケットボール選手になるように運命づけられていたのだ。

 このエピソードはブルック・ラマーの傑作ノンフィクション『Operation Yao Ming』(『ヤオ・ミン作戦』未邦訳/米国)に紹介されている。

 ここまで、やるのだ。中国は。

【次ページ】 女子カーリングに見る中国の驚嘆すべき強化体制。

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