Column from SpainBACK NUMBER
世界記録更新なるか?
~「負けない」スペインの挑戦~
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byJamie McDonald/Getty Images
posted2009/06/17 06:01
「2人のシャビ」を軸にして親善試合で大勝!
中盤の作り直しを余儀なくされたデル・ボスケは、「いまのプレースタイルは絶対に放棄できない」とし、2人のシャビを縦に並べることでパスワークの軸を作り始めた。中盤を菱形にした4ー4ー2というフォーメーションで、上の頂点がシャビ、下がアロンソ、左右はセスク、リエラ、カソルラ、シルバという形だ。
結果は、大会直前の親善試合アゼルバイジャン戦が0ー6で大勝。初戦のニュージーランド戦もフェルナンド・トーレスが最初の17分間でハットトリックを決め、5ー0で快勝。上々である。
強豪が相手のコンフェデ本戦における戦術は?
しかし、アゼルバイジャンもニュージーランドも、この後対戦するイラクも南アフリカも、スペインにとってはウォーミングアップでしかない。本番が始まるのは準決勝。そこで当たると思われるイタリアかブラジルに、セナとイニエスタのいない中盤で対処できるのか。
監督が手を打つとしたら、トルコとのワールドカップ予選2連戦で用いた4ー2ー3ー1だろう。
あのときもイニエスタは故障中で、セナの隣にアロンソが立ち、トップ下のシャビとの間にホットラインを作った。いまやるなら「2」はアロンソとブスケッツ。ボールの動きは十分滑らかになるし、気がかりなディフェンスの方も数の力に頼れる。フェルナンド・トーレスとビジャのツートップが使えなくなるというデメリットはあるが。
フォーメーションに手を加えるべきか否か。デル・ボスケはグループステージでの様子を見て判断するのだろうが、いずれにせよ、スペインは36戦無敗という世界新記録を懸けて準決勝に臨むことになるはずだ。その相手は現記録保持者で前世界王者のブラジルか、はたまた現世界王者のイタリアか。ひょっとしたらダークホースの米国が出てくるかもしれない。エジプトだってないわけではない。
記録を作ってタイトルを手にしたら、コンフェデレーションズカップは一転、スペイン人に最も縁深い大会になる。
その可能性は十分にある。