Column from GermanyBACK NUMBER
ゴッツウおまっせ、来季のバイエルンは。
text by
安藤正純Masazumi Ando
photograph byAFLO
posted2005/03/02 00:00
チャンピオンズリーグでアーセナルを粉砕したバイエルン。司令塔のバラックと期待の星シュバインシュタイガーが共に欠場したが、チーム力はまったく衰えず、選手層の厚さを見せ付けた。
ブンデスリーガではシャルケ04と激しいデッドヒートを繰り広げるものの、今季バイエルンが国内外で何かのタイトルを獲得する確率はかなり高いといえる。その根拠となっているのが若手の成長である。
とにかく粒揃いなのだ。「若手の出世頭」と言われた神童のダイスラー(25歳)はいまや中堅となり、DFラウ(23歳)、DFゲルリッツ(23歳)、FWゲレーロ(21歳)、そしてMFシュバインシュタイガーが急成長。出場機会は限られているがGKレンジング(ともに20歳)も忘れちゃいけない。
彼らは第二のショルであり、リザラズであり、カーンだ。来季はこれにレンタル移籍していたラーム(21歳)が加わる。ポジションが保証されたベテラン選手は一人もいない。
ゲレーロ以外、全員がドイツ人である。負傷中のゲルリッツを除けば、今すぐにでも彼らだけで代表チームを構成できるだろう。
若さとは、恐いもの知らずの代名詞である。実際、シュバイニーの“暴走”ぶりは有名だ。まだ運転免許を持っていなかった頃、80キロ制限の道路を150キロでぶっ飛ばし、それが監視カメラで撮影され警察に逮捕された。「あれは若気の至り。今はまともな運転をしている」と言うが、どうだか…。
さらには、深夜に従姉妹を連れてきてバイエルンの選手控え室をこっそり見せようとしたところ、不法侵入の警報アラームが鳴り、警察が出動する騒ぎも起こした。また、夜中の3時にディスコで遊んでいたのが発見され、またもや警察の御用に。この騒ぎで罰金200万円を支払ったそうだ。
「おかげで年末のボーナスが消えてしまった」と嘆くことしきりだが、事件は意外な“副産物”を生んだ。ディスコで事情聴取を受けている最中、女の子と知り合った。これがいまのガールフレンドなのである。
ヤンチャ坊主で扱いに困るタイプだろうが、いまのバイエルンは問題児マテウスが牛耳っていた時代と違う。理性と戦略がうまくミックスした抜群のマネジメント能力を備えていて、選手を決して天狗にはさせない。だからシュバイニーのエネルギーはプラス方向に転嫁されるはずだ。
GK、DF、MF、FW。どのポジションでレギュラーが抜けてもバイエルンは若手選手で穴埋めできる。それも従来のパワーをさらに増した形で。
来年の話をすると鬼が笑うというが、バイエルンのフロントはかなりニンマリしているに違いない。