Column from GermanyBACK NUMBER
あと2節、最後に笑うのは誰?
text by
安藤正純Masazumi Ando
photograph byGetty Images/AFLO
posted2007/05/10 00:00
マイスター争いが熾烈を極めている。32節現在の順位は1位シャルケ(勝点65)、2位シュツットガルト(64)、3位ブレーメン(63)。優勝決定は恐らく最終節にもつれ込むだろう。
今季、3チームが最後まで優勝に絡む展開を見せる欧州主要リーグはスペインとドイツだけ。これは目が離せない。といっても“偏愛主義者”と“ドイツ蔑視派”はブンデスリーガなんぞに関心を寄せるわけがないから、ここはシンパだけで大いに盛り上がるしかないかも……。と、ちょっぴり自虐の快楽に酔った上で残り2試合の大胆予想を。
33節の対戦カードは、ドルトムント対シャルケ、ボーフム対シュツットガルト、ブレーメン対フランクフルト。名前を隠して順位だけにすると、9対1、8対2、3対14となる。「なんだ、全部上位チームが勝てるじゃないか」と予想した君はまだまだブンデスリーガ初心者である。この国のサッカーはそれほど甘くはないのである。
ルールダービーを多摩川クラシコや千葉ダービーと比べてはいけない。過激さで名を売るドルトムントが、市電で通える隣町の優勝を絶対に許せるわけがない。これは地元民の自然な感情である。そうなると、「坊主憎けりゃ、袈裟まで憎い」の精神で、ドルトムントが最後っ屁を食らわすかもしれない。フライの暴発FKとクリンゲの突貫精神(恐い顔つきがさらに険しくなる)には要注意。いや、もっと注意すべきは試合後のファンの暴走だろう。シャルケのファンが大暴れすれば町は無政府状態に陥る。そうならないように、この試合は今季最高の警備体制が敷かれるはず。こりゃあ、何が起こるかわからないぞ。ナンマイダブ、そしてアーメン。
力不足のボーフムはシュツットガルトと引き分け、フランクフルトは気力・技術・体力すべてに勝るブレーメンに完敗。マンマミーヤ。そういうわけで33節は順位が入れ替わり、(1)ブレーメン、(2)シュツットガルト、(3)シャルケに。
そして最終節。ボルフスブルク対ブレーメン、シャルケ対ビーレフェルト、シュツットガルト対コットブス。相手の順位は15、13、11。UEFAカップ決勝戦まであと一歩のところで息切れたブレーメンはクローゼとフリングスの移籍が決まりそうで、ジエゴの退団も噂され、なんとか有終の美を飾ろうとするが、降格圏内で喘ぐボルフスブルクが仮に前節で16位のアーヘンに負けていたら、ブレーメン相手に火事場の馬鹿力を発揮する可能性が大きい。シチュエーションというのはやはり、綺麗ごとよりも、現実の恐怖に向かった時のほうが、潜在パワーが発揮されるというものだ。
残留をすでに決めているコットブスは「とりあえず名誉は守った(旧東独唯一のチーム)」ことで、もはや気が乗らず、完全な消化試合に徹するだろう。シャルケは勝ったとしても、他力本願となる。
そういうわけで、私の優勝予想は最後の2試合を落とさなかったシュツットガルトで決まりである。
さて、この予想は当たるでしょうか?もしも当たったら、皆さんで私を褒めてやってください。なにしろ私の予想といったら、Jリーグのトトで最高でも4試合しか当てたことがないんですから。