プレミアリーグの時間BACK NUMBER
マンU浮沈の鍵を握る、
ベルバトフの自戒。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAction Images/AFLO
posted2009/12/01 10:30
柔らかなボールタッチでアシストもゴールも高いレベルでこなす。祖国ブルガリアではストイチコフ以来のスターとして扱われている。
クリスマスの鐘が鳴るころ、マンUは本気になる?
だが、マンUの勝負はこれからだ。ベルバトフに代わって、13節で2トップの一角で先発したマイケル・オーウェンも言っている。
「(昨季まで)外からマンUを眺めていて、クリスマス辺りから本気になるチームだという印象を持っていた。後半戦に連勝や無敗を続ける姿を何度も目にしてきた。そう思いながら試合日程を眺めてみたら、今年もその時期がやって来たようだね」
オーウェンが指摘する通り、13節でエバートンを下した(3-0)マンUは、来年1月末のアーセナル戦まで、いわゆる“ビッグクラブ”との対戦がない。その間のリーグ戦10試合で当る上位勢は、4位争いを演じているアストンビラだけだ。そのアストンビラ戦にしても、ホームゲームというアドバンテージがある。昨季のマンUは、11節でアーセナルに僅差で敗れた(1-2)直後、リーグ戦で16試合連続無敗と驚異的なカムバックを見せて優勝を成し遂げた。今季は、12節チェルシー戦で惜敗(0-1)したが、最終節後に振り返ってみると、この試合がエンジン全開のきっかけになっている可能性もある。
故障が癒えたベルバトフも復帰。4連覇の準備は整った。
タイミングを計ったかのように、攻撃の鍵を握るベルバトフもチームに復帰する。ベルバトフは、先の代表戦(親善試合)での2ゴールで通算得点数を「48」に伸ばし、ブルガリアの歴代得点王としてプレミアのピッチに戻ってくる。
「マンUのファンは、(ジョージ・)ベスト、(ボビー・)チャールトン、(エリック・)カントナと、偉大な選手のプレーを目の当たりにしてきた。その点、自分はディミタルという名の一選手にすぎない」
謙遜するベルバトフだが、余計なプレッシャーを背負い込む必要はない。監督とファンはプレミア4連覇に向けて、往年の名選手の再来ではなく、実力を十全に発揮する“ディミタル”を求めているだけなのだから。