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ドイツ復活への遠い道のり。 

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安藤正純

安藤正純Masazumi Ando

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photograph byGetty Images/AFLO

posted2006/04/13 00:00

ドイツ復活への遠い道のり。<Number Web> photograph by Getty Images/AFLO

 現在国内最高のストライカーといえばブレーメンのクローゼである。歴代最高の点取り屋G・ミュラーも「クローゼしかいない」と認めている。かつて日本と縁の深い指導者は、優秀なFWをどう育成したらいいのかという質問に対し、「ここだけの話だけどな。FWは作れるものじゃない。生まれてくるものなんだ」と答えたそうだ。つまり、いくら優秀なコーチが熱心に指導しようが、元々の才能には絶対かなわない、というわけである。

 ではその才能はどこからどうやって生まれてくるのか。ミュラーもネッツァーもベッケンバウアーも異口同音にこう言っている。「ストリートサッカーしかない」。クローゼも彼らも全員、ストリートサッカー出身だ。ミュラーは“仲間”を集めたチームで子供時代、年間20試合(もちろん公式戦)で191点も奪ったことがある。

 そんな時代はしかし、完全に終わっている。子供たちは決まった時間に決まった場所で、ライセンスを持った指導者に教えてもらう“授業”を受けるだけである。そこでは豊かな発想も遊びの要素も除外される“訓練”がまかり通る。だから大人になってもつまらないサッカーしかできないわけだ。今の国内サッカーの低迷もここに原因があるという説が根強い。だが、長年かけて作り上げてきた構造は早々簡単に変えられない。それはどの世界でも同じことである。

 ポスト・クリンスマンを意識する代表テクニカルディレクターに就任したザマーは、こうした現況と、「子供がサッカーボールを蹴る時間が20年前に比べて30%も減っている」とするレポート結果にショックを受け、「今後はアメリカ同様、子供たちが学校で毎日好きなだけサッカーができる環境に改善すべきだ」と主張する。

 大手メディアとのインタビューでザマーはさらに、ナショナルトレセンを作り、子供から大人まですべて同じシステムでやるようにと提言した。これらはフランス代表選手の養成で成功しているクレールフォンテーヌと、戦術的に各年代が統一されているオランダやスイスを倣ってのアイデアである。

 だが大胆に、根底から改革できるだろうか。ハード面の問題はこの国のことだからすぐさま解決できるだろう。だが肝心のソフトは……。ガチガチの守備戦術を導入し、シュツットガルトを一気につまらないチームにさせたのは当のザマー元監督である。よりによって旧東独時代、窮屈な体制による退屈な戦術の忠実なる実行者だったザマーがこんな改革案を言い出してきたこと自体、この国のサッカーが行き詰っている証明である。真の構造改革への道のりは長いのである。

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