今こそモータースポーツBACK NUMBER
激動のF1業界、ついに決着す。
~首領エクレストンが渡した引導~
text by
西山平夫Hirao Nishiyama
photograph byHiroshi Kaneko
posted2009/06/29 06:00
F1界の首領、バーニー・エクレストン。FIA会長マックス・モズレーのクビを切って、ひとまず分裂は回避されたが……。
イギリスGPの3日後、FIAが白旗を揚げた……。
泥沼状態のまま両者和解の道は遠いと思われたが、事態は急転する。
イギリスGP3日後の6月24日、パリでFIAモータースポーツ評議会が開かれ、リリースが発表された。その内容はバジェットキャップの足かせなしに来季13チームのエントリーを受理し、コンコルド協定にもサインするというもので、突然FIAが折れた格好となった。しかもマックス・モズレー会長が今年10月の次期会長選挙に出馬しないことも明言し、印象的にはFIAサイドが全面白旗を掲げたと見える。
泰山鳴動してマックス・モズレーの首が転がっておしまいとなったわけだが、この間にいったい何が起こったのか?
考えられることはただひとつ、F1界の首領にして“商業権所有者”のひとり、バーニー・エクレストンFOM会長がモズレーに引導を渡したこと。だとしたら、まるで大岡裁きか、水戸のご老公の印籠の威光が利いたかのようだが、こうなってみるとあまりにもあっけない気がしないでもない。
FOTAは早々と全17戦のレーススケジュールを発表していたが、“怖いもの見たさ”というのだろうか、今となってはそれに対抗したFIAのレーススケジュールなど、もっと激しい応酬を見たかったような気もする。