MLB Column from WestBACK NUMBER

ドジャーズとエンジェルス、もうひとつの戦い 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph bygettyimages/AFLO

posted2004/06/02 00:00

ドジャーズとエンジェルス、もうひとつの戦い<Number Web> photograph by gettyimages/AFLO

 今回は、「FROM WEST」のタイトルに相応しく、LA地域限定の話題をお届けしよう。実は、今年に入り地元メディアの関心を集めていることに、ドジャーズとエンジェルスの「ホームチーム」をかけた覇権争いがある。

1958年にブルックリンから、メジャーリーグで初めての西海岸に本拠地を移転して以来、ドジャーズはLA地域のプロスポーチうの象徴であり続けた。一方のエンジェルスは、1961年にLA地域第2のチームとして創設されたものの、長期低迷が続き「お荷物チーム」から抜け出せなかった。それが一昨年エンジェルスがワールドシリーズを初制覇したことで、両チームの勢力分布が明らかに変化を遂げつつあるのだ。

奇しくも両チームとも、今シーズンからオーナーが代わった。エンジェルスのモレノ新オーナーは、シーズンオフにV・ゲレロ、B・コロンなどのスター選手を獲得するとともに、ポケットマネーで球状に最新装備のディスプレーを設置しインフラも整備。集客数アップを狙った積極的な策を施した。

一方のドジャーズは、マッコート新オーナーの承認が遅れたこともあり、オフに思い通りの動きができなかった。特に、重要課題とされた打撃陣の補強は一切手がつかず、開幕直前に何とかM・ブラッドリーをトレードで獲得するだけに留まった。

人気、実力ともにかなり伯伴してシーズン入りし、両チームともに各地区の首位を走る好調スタートを切った。それを反映するようにホーム試合の集客実績(5月27日現在)でも両チームは肉薄。エンジェルスは22試合で89万1854 人に対し、ドジャーズは21試合で88万3160人とほぼ互角だ。

ところがこの数字も、別の視点からみると、両チームの間に意外な「差」が浮き彫りになる。1試合あたりの平均占有率になると、エンジェルスが90.0%に対し、ドジャーズは75.1%とかなりの開きがあるのだ。ほぼ満席のエンジェルス・スタジアムと空席が目立つドジャー・スタジアム――という構図が見えてくるだろう。

さらに選手に故障者が相次ぎながら首位を守るエンジェルスとは裏腹に、ドジャーズは昨年の悪夢が再現するように、打撃不振に陥り、8連敗するなど首位から転落してしまった。もちろんチーム成績は今後の集客力に大きな影響を及ぼすことになるだろう。

急速に地元ファン取り込みを進展させているエンジェルス。1996年以来プレーオフに出場できないドジャーズが、過去の歴史と伝統の上で胡坐をかいていられる状況ではない。6月25日から行われる直接対決「フリーウェイ・シリーズ」では、フィールド対決だけでなく観客席での両チームのファン占有率にも注目してみたい。

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