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城島のマリナーズ退団、本当の事情。
7億捨てて、みんなHAPPY!
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2009/10/24 08:00
2006年マリナーズ入団からの毎年のOPSは、.783(2006年)、.755(2007年)、.609(2008年)、.702(2009年)。ホークス時代の後期はコンスタントに.900を超えており、2004年には1.087という驚異的な数値を記録している
データでは期待大の城島! では、日本球界での行き先は?
さて、気になるのは城島の日本球界での行き先だ。単純に考えれば、ソフトバンク・ホークスが浮かび上がり、実際に王貞治氏も城島のことが欲しそうだ。
しかしホークスでは今季、田上秀則が成長を見せているし、田上の今季推定年俸は2500万。昨季のオフから各球団はコストパフォーマンスに敏感になっており、億単位のお金が動く城島とはマッチしない(それにおそらく城島自身も田上に遠慮するのではないか?)。
そこで正捕手に不安を残す阪神などが浮上してくるわけだが、報道では阪神のオファーは4年20億円とも言われている。
城島はまだ33歳。老けこむ年でもないし、適切な起用法を心がければあと5年はマスクをかぶれるだろう。それにメジャーリーグでほとんど使われず最終年を過ごした選手は、日本に帰った1年目に大活躍するというデータもある。これは新庄剛志と井口資仁のメジャー最終年と帰国1年目の数字を比較したものだ。
新庄剛志 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|
2003年メッツ | .193 | .238 | .246 | .484 |
2004年北海道日本ハム | .298 | .327 | .508 | .835 |
井口資仁 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|
2008年(パドレス+フィリーズ) | .232 | .292 | .306 | .598 |
2009年千葉ロッテ | .281 | .391 | .475 | .866 |
城島健司 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|
2009年マリナーズ | .247 | .296 | .406 | .702 |
??? | ? | ? | ? | ? |
新庄、井口のデータを見る限り、出塁率で1割、長打率では2割前後のアップが見られる。特に井口の.866というOPSは素晴らしい数字だ。
サンプル数が少ないので鵜呑みにすることはできないが、もしも城島が健康な状態で日本に帰ってきた場合、打撃面ではかなりの数字を期待できるのではないか。4割近い出塁率に5割を超える長打率。これは決して実現できない数字ではない。ホークスの最終年だった2005年の城島のOPSは.938だったのだから。
打撃不振に悩むチームにとっては、メジャー帰りの城島が特効薬になる可能性は十分にある。