カンポをめぐる狂想曲BACK NUMBER
From:ロッテルダム(オランダ)&ロンドン〜マンチェスター(イギリス) 「中田を使うならFWで」
text by
杉山茂樹Shigeki Sugiyama
photograph byShigeki Sugiyama
posted2004/06/08 00:00
ようやくチャンピオンズリーグも終了。
知る人ぞ知るルートでイギリスに入る。
こんなところにも旅の面白さが。
ゲルゼンキルヘンでチャンピオンズリーグ決勝を見た後、僕は電車と飛行機を乗り継いでマンチェスターを目指した。
デュッセルドルフからアムステルダム行きのICE(ドイツの新幹線)に乗りユトレヒトで下車。そこからオランダ国鉄に乗り換えてロッテルダムへ。所要時間は乗り換え時間込みで約2時間20分。デュッセル〜ロッテはそう遠くない距離にある。
ロッテでとりあえず2泊。その間、知人が運転する車で、再びドイツ国境近くの村に舞い戻り、サッカートーナメントを観戦した。日本のU-17が出場していたからである。
日本は巧かった。フェイエノールトに対し、軽く2−0で完勝した。3−0、4−0で勝ってもおかしくない開きがあった。しかし、試合は途中から競った内容になった。日本人の特徴である勤勉さ真面目さが仇になっていたと僕は思う。それは、ある瞬間から馬鹿真面目な行為に見えてきたのだ。一本調子で、一生懸命で、常にセカセカ、落ち着きがなく、自らを真面目という縄で縛っているかのようだった。「小野」はそこにいなかった。
とはいえ、C・フクモト君という3番をつけたCBは、なかなか才能に溢れた選手だった。クーマンばりのロングパスを一本、鮮やかに決めたのだけれど、日本のバックであんなパスが蹴れる選手に、僕はお目に掛かったことはない。大分トリニータ・ユースに所属するこの選手、覚えておいた方が良いと思う。
ところで、ロッテルダムに空港があることは、日本人には案外知られていない。オランダの空港といえば、アムステルダムの「スキポール」。旅行代理店の担当者でさえ、知らない場合がある。ロンドンシティ空港もしかり。ロンドンの空港といえば、ヒースロー、ガトウィック、スタンステッド。日本で発売されているガイドブックにも、ロンドンシティは紹介されていない場合がある。
ロッテルダム〜ロンドンシティ。僕は知る人ぞ知るそのルートでドーバー海峡を越えた。因みにお値段は片道85ユーロ(1万1千円強)。お手ごろ価格である点、さらに、ロンドンシティ空港が、他の3つの空港より遙かにロンドンの中心に近い場所にあることもお勧めしたい理由だ。使い勝手は抜群に良い。
そこからバスと地下鉄を乗り継いで、セントパンクラス駅に行き、マンチェスター・ピカデリー駅を目指したのだけれど、その前にロンドンを訪れた際のお約束もしっかりこなした。ショッピングです。物価は高いけれど、ロンドンじゃなきゃ手に入りにくいものもあるわけで……。
マンチェスターに到着するや、これまたお約束のように中華街を目指した。基本的にイングランドの飯はまずい。救いは中華に求めるしか方法はないのだ。で、これが案外美味かった。だから、マンチェスターに滞在した4日間、僕は中華ばかりを馬鹿食いした。長城飯店、大湖飯店はお勧めです。
対イングランド戦。肝心の試合がまた予想以上に面白かった。日本代表の試合を、ここまで楽しめたのはいつ以来だろうか。選手が楽しげにプレーする様子が、見る側に伝わってきた点が何より良かった。特に小野はスーパーだった。彼が発する良いテンポが、チーム全体に行き届いていた。これに中田が加わったらどうなるのか。中盤は小野、中村、稲本で十分。中田を使うならFWで。これが僕の意見。4人が再び揃った時、どうなるか。そこに描かれる図はしっかり見届けたい。