セリエA コンフィデンシャルBACK NUMBER
カターニャ森本の課題は3試合目。
text by
酒巻陽子Yoko Sakamaki
photograph byAFLO
posted2007/02/05 00:00
「中田(英)さんのように派手なデビューがしたい」
カターニャの地元ラジオ番組に出演した森本貴幸の口から大胆な一言が飛び出したのは、先々週のことだった。願いどおり森本は、1月28日のアタランタ戦で初出場初ゴールという衝撃的なデビューを飾ったのである。
日本人選手最年少欧州デビュー弾。18歳の大物は、ピッチに立って3分30秒後にその名を歴史に刻むことになった。中田英寿は、デビュー戦で2ゴールを決めたが、結果的にはユベントスに3−4で敗れたため、価値あるゴールという点では同点弾を叩き出した森本に軍配があがったといえるかもしれない。
9年前、ペルージャが中田熱で沸いたように、試合の翌々日、カターニャの練習場には300人以上のサポーターが押し寄せた。ユースチームでプレーしていた18歳のジョカトーレは、一夜にして「フェノーメノ(怪童)」と呼ばれた。
しかし、森本が本当に怪童に値するかは、これからのプレー次第。かつてセリエAで怪童の異名を得た外国人選手たちも、そうだった。
以前レッチェに所属していたウルグアイ代表のFWチェバントンは、20歳でセリエAデビューを果たした。パルマとのデビュー戦で試合開始2分後に初ゴールを挙げ、一躍ヒーローとなったが、それだけでは終わらなかった。第3節のブレシア戦で2ゴール目を奪取。そのシーズンはルーキーにして11ゴールを決め、イタリア全土にその名を轟かした。
ペルージャ時代の中田英も、デビュー戦はもちろん、第3節のラツィオ戦でも自身3ゴール目を奪った。申し分ないテクニックと戦術眼は、3戦目で一流と絶賛されたものだった。
チェバントンも中田も、認められるには3試合目のゴールが大きかった。これをきっかけに2ケタゴールをあげるなど、シーズン通して持てる力を存分に発揮することができたのである。
森本は弱冠18歳。今後、森本が、パワーに加え、ソフトにボールをコントロールできるテクニックを磨きさえすれば、彼にとっての第一関門であるトップチーム定着をゲットできると思う。さらに、かつての怪童たちが成し遂げたルーキーにして2ケタゴールを実現する可能性も出てくるだろう。
日本人離れした身体能力とサッカーセンスを持つ日本の“逸材”が、セリエA19チームを相手にどこまで力を発揮できるか、真価が問われるのはこれからなのだ。