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支配するも、君臨せず。
レアル、ペジェグリーニ監督の指導術。
text by
中嶋亨Toru Nakajima
photograph byReal Madrid via Getty Images
posted2009/08/03 11:30
ペジェグリーニは選手に「自由を与えてくれる監督」。
このようなメニューをこなし、バランス良いチームの土台を築いたところで、ペジェグリーニは攻撃に着手する。ペジェグリーニの攻撃の哲学は「少ないタッチ数で素早くボールを動かし、敵が崩れたところでドリブル、シュートを仕掛けていく」というものだ。アイルランドで行われたプレシーズンマッチ初戦では「ペナルティエリア近くでは2タッチ以内でプレーすること」というルールが定められたことも明らかになっており、徐々に攻撃の整備も始まったことが窺える。
選手が持つドリブル、パス、シュート、スピード、パワーといった長所を最大限に引き出すためのチーム状態を作り、試合では選手のインスピレーションを重んじるペジェグリーニのことをカプデビラは「自由を与えてくれる監督」と表現する。
ロナウド、カカ、ベンゼマといった新戦力はもとより、ロッベン、スナイデル、イグアイン、ラウルら既存の選手達はペジェグリーニによって与えられる自由の下でどれほどのサッカーを展開するだろうか。未だ、はっきりとした形として現れてはいないものの、レアルはペジェグリーニの哲学の下で新しく生まれ変わろうとしている。
(取材協力・Luis Calderon [Marca])