青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
ついに石川遼が苦言を呈した
ギャラリーの蛮行。
~同組選手のスコアが伸びない謎~
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byPHOTO KISHIMOTO
posted2009/10/31 10:00
この直後、ゴルフ協会が観戦マナー啓蒙のために石川選手らも登場する特別ビデオを作製した。以降、大会会場のスクリーンにこのビデオが流され、また手荷物チェックで携帯電話やカメラ所持者に注意を促すこととなった
かつてのウッズ台頭を想わせる石川の「強さ」とは?
しかし、石川の活躍で男子ツアーへの注目が高まるほどに、会場では石川のプレーを撮影しようとしたり、同伴競技者のプレー中にもかかわらず我先にと動くギャラリーの姿が目立つようになってきた。もちろんゴルフ観戦初心者もいるのだろうが、意図的に無視している人も多く見受けられる。
他のツアープレーヤーたちもギャラリーの増加を喜びつつも、複雑な心境でいるようだ。9月のANAオープンで石川とプレーした矢野東はこうグチをこぼした。
「相手が遼くんなんで仕方ないとは思うけど、オレのバーディーパットくらい見てよーという気になりますよ。悪い流れの時ほど僕はそういう部分に目がいってしまう。日本人選手が彼と優勝争いしてスコアを伸ばしてないのは、そういった要因もあると思う。タイガー・ウッズが出てきた時にもそういう現象が起こったと米ツアーの選手に聞いたことがある。それが強さの1つだと」
石川もギャラリーも、そんな「強さ」など求めてはいないだろう。最高のトーナメントは選手同士の最高のパフォーマンスがあってこそできあがる。
マナーに無知な初心者ギャラリー急増は過渡期ゆえ。
日本オープン翌週のブリヂストン・オープンでは、石川も周囲の関係者もぴりぴりとしている様子がうかがえた。
林に曲げた石川のボールを初心者ギャラリーが「記念に」と持ち帰ろうとするハプニングがあり、動画撮影しているギャラリーを見つけた石川が「携帯やめてください!」と注意したり、クラブハウス前でカメラを握りしめて待っていた人に「カメラはダメなんで、しまってもらえますか」と強い口調で迫る場面もあった。
すべては希代のスター選手が登場した男子ゴルフ界が過渡期にあるがゆえの出来事。石川にはギャラリーへの感謝と寛容さを、ギャラリーにはゴルフを尊重する姿勢を忘れないでいてほしい。そうすれば、小さなヒビはいつしか直っているはずだ。