青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
石川遼がプレジデンツ杯で掴んだ夢。
リオデジャネイロ五輪の金メダル。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byGetty Images
posted2009/10/18 08:00
プレジデンツカップではタイガーとも対戦した石川遼。タイガーには完敗したが、大会トータル3勝2敗で個人としては世界選抜チームでビジェイ・シンに次ぐ2位のポイントを獲得した
第41代大統領ジョージ・H・W・ブッシュのスピーチに続いて、オバマ現大統領からもビデオメッセージが届けられた。米国選抜の特別アシスタントを務めるマイケル・ジョーダンは不在だったが、代わりにバリー・ボンズが姿を見せて華やかな式典に花を添えた。
米国選抜と世界選抜の対抗戦となるプレジデンツカップのオープニングセレモニー。その中には、チームそろいのグレースーツにブルーのシャツとネクタイできめた石川遼の姿があった。
セレモニーは世界選抜メンバーの各国国歌の吹奏と国旗掲揚から始まった。アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、コロンビア、フィジーに続いて日本。
オーケストラによる君が代が流れると、壇上にいる石川は硬くなる風でもなく、きりりと引き締まったいい男の表情をして空を見上げた。ステージ左右に設けられた場内二基の大型スクリーンにはその顔が大写しになって、サンフランシスコの空に日の丸が上がった。
7年後に24歳の石川にとって金メダルは夢じゃない。
「あれは僕にとってもサプライズだったんです。まさかああいうことをするとは思ってなかった。1人のスポーツ選手として国旗が上がって君が代を聞くというのは、オリンピックの選手みたいだなと思ったし、経験できてよかったと思います」
米国と欧州の対抗戦であるライダーカップと同じように、プレジデンツカップに賞金はない。ウッズやミケルソンだって無給である。選手に与えられるのは、国を代表して、選ばれしチームの一員として戦うことの名誉と誇りだけなのだ。
国を背負って戦う試合というのはゴルフでは決して多くはないが、10月9日にデンマーク・コペンハーゲンで開かれたIOC総会ではゴルフが2016年リオ五輪から正式競技として採用されることが決まった。
今から7年後。1人のアスリートが盛りを過ぎてしまうのに十分な時間だが、ゴルファーは息が長いことに加えて石川はまだ18歳。リオ五輪の時はまだ24歳と絶好のタイミングで五輪初のゴルフを迎えることができる。
「リョウは金メダル候補」とマスターズ覇者が語る。
世界選抜の一員としてプレジデンツカップに出場していた'03年マスターズ覇者のマイク・ウィアは「リョウのようなワールドクラスのアスリートが金メダル候補になる。今のジュニアゴルファーたちにチャンスがあるということだよ」と話していた。現在世界最強のウッズも2016年には40歳を迎えていて、今と同じようなペースで試合に出続け、勝ち続けているかは疑問が残る。