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今季を振り返って 

text by

安藤正純

安藤正純Masazumi Ando

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posted2006/05/24 00:00

今季を振り返って<Number Web> photograph by AFLO

 今季も無事に終了した。そこで恒例の『ドイツサッカー大賞』を発表する。以前にも説明したが、これは私が個人的な思いをたっぷり込めて独断と偏見で選ぶもの。勝手に創設したため、受賞者には名誉だけを与え、金がかかる副賞などは一切ない。あったら私が貰う。

 では発表します。

 第1位:ベルダー・ブレーメン

 受賞理由=パワーとスピード一辺倒のリーガにあって、MFミクーの卓越したパスセンスとFWクローゼの小技満載のゴールが、頭の固いドイツ人にサッカーの楽しさを再認識させた(地元だけかもしれないけど)。ミクーは退団するが、FCポルトからブラジル人MFディエゴが新加入。ブレーメン「音楽隊」の軽やかさをさらに期待しての初受賞となった。なお、チャンピオンズリーグのユベントス戦で見せたGKヴィーゼの“裏技”に感謝し、イタリアより特別功労賞が贈呈される予定(?)。

 第2位:ミヒャエル・バラック

 受賞理由=チェルシーかレアル・マドリードかで揺れ続けていた今季、ケガをしては元も子もないという魂胆から、つねに70%の力を出しながら安全運転を心がけた。このたび無事に怪しげな石油王チームへの移籍が決まり、ロナウジーニョ並みの年俸を確保。めでたしメデタシである。なお、バラックには「今年、日本でもっとも多くインタビュー記事を翻訳し、稼がせてもらった選手」ということで私より薄謝を進呈するつもりだったが、4年契約6000万ユーロ(約85億円)、時給にすると1700ユーロ(約24万円)と判明したため、やむなく中止とした。こちらも(払わないで済むので)めでたしメデタシだ。

 第3位:大観衆

 受賞理由=展開がつまらない、意外性がない、スター選手が乏しい、チャンピオンズリーグでまったく勝てない、ロボットのようだ──。数々の悪評をものともせず、今季もまた経済的繁栄をリーガにもたらした功績は絶大である。総数は史上初めて1200万人を突破、1試合平均でも前年比3000人増で初の4万人台に乗せた。毎週全国どこでも“浦和レッズ”状態なのである。

 番外:バイエルン・ミュンヘン

 受賞理由=2年連続で2冠を達成したものの、スペクタクルに欠け、欧州の国際舞台でちっとも勝ち抜けない。田舎の王様が全欧州を制するのは一体いつになることやら。黒字経営を最優先する頑固な哲学は、逆にファンの夢と希望を失わせている。嘘でもいいからロナウジーニョを獲得するって言ってみて!

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