MLB Column from USABACK NUMBER

ヤンキースvsドジャース、
もし闘わば……。
~ワールドシリーズ、大胆予想~ 

text by

李啓充

李啓充Kaechoong Lee

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2009/08/06 11:30

ヤンキースvsドジャース、もし闘わば……。~ワールドシリーズ、大胆予想~<Number Web> photograph by Getty Images

今季、A・ロッドは開幕前に薬物使用を告白しただけでなく、WBCドミニカ代表の合宿に合流した直後に右臀部の故障が判明。WBC出場を取りやめ、緊急手術を受けるなど故障に苦しみ、5月8日に復帰した

 シーズンも残り二ヶ月を残すのみとなったが、いま、ヤンキースの強さが際立っている。

 7月27日時点で、61勝38敗(勝率6割1分6厘)はリーグ・ベスト。宿敵レッドソックスに2.5ゲーム差をつけて、ア・リーグ東地区首位に立っている(以下、数字は7月27日現在)。

 OPS(出塁率と長打率の和)8割3分3厘はダントツのリーグ1位と、もともと打線の破壊力は群を抜いていた。

 問題は投手陣、特に救援陣だったが、先発では防御率5.45と安定感を欠いたフィル・ヒューズが、6月に救援に転向してから防御率0.70と超一流リリーバーに変身。最近はマリアノ・リベラへの繋ぎ役に定着、「二枚抑え」による盤石の勝ちパターンを確立した。

レッドソックス・ネーションからの「ひねくれ」予想。

 2000年を最後にワールドシリーズ優勝から遠ざかっているヤンキース。9年ぶりの覇権奪回に立ち塞がる敵があるとすれば、それはライバルのレッドソックスと、ナ・リーグ最強チームのドジャースだろう。

 まずレッドソックスだが、今季0勝8敗とまったく歯が立たずにいる。それでも2.5ゲーム差で首位に立っているのは、ヤンキースが「弱きをくじく」ことに専心してきたからに他ならない。

 レッドソックスに対する成績をどこまで挽回するか、リーグ選手権シリーズで直接闘う可能性が高いだけに、興味があるところである。しかし、仮に挽回できないとしても、「レッドソックスに全敗しつつ地区優勝」という珍記録達成の可能性もあるので、頑張って欲しいものだ。

NY vs LA。キーワードは「遺恨」と「ドラッグ」。

 レッドソックスを下してワールドシリーズに進出した場合、相手がドジャースとなる可能性は極めて高い。ヤンキースvsドジャースのワールドシリーズ、私から言わせれば、見所は以下の二つだ。

 まず第一は、ドジャース監督ジョー・トーリとの「遺恨」。トーリは、ヤンキースを4回ワールドシリーズ優勝に導いた大功労者であるにもかかわらず、07年のシーズン終了後、「石もて追われる」憂き目にあった。今季開幕前、ヤンキースの内情を暴露する『さらばヤンキース――我が監督時代』を出版して「恨み」を晴らしたが、逆に、あれこれ書かれたヤンキース選手の「恨み」を買った。

 見所の第二は、A・ロッドvsマニー・ラミレスの主砲同士の闘い。A・ロッドが、今季開幕前、レンジャース時代のステロイド使用を告白したのに対し、ラミレスは、5月に、薬剤使用で50試合の出場停止処分を受けたばかりだ。

 ともに薬剤汚染が明らかとなった主砲二人。「どちらの薬が良く効くか勝負!」の対決も興味が尽きない。

#アレックス・ロドリゲス
#マニー・ラミレス
#ロサンゼルス・ドジャース
#ニューヨーク・ヤンキース

MLBの前後の記事

ページトップ