Column from GermanyBACK NUMBER
1次リーグ突破はたぶん確実だ。
text by
安藤正純Masazumi Ando
photograph byAlexander Hassenstein/Bongarts/Getty Images
posted2006/01/10 00:00
W杯でドイツ代表の対戦相手は、コスタリカ、ポーランド、エクアドルである。毎度のことながら、なんてまぁ、クジ運の良いことか。
このうちポーランドとは隣国という条件から過去に何度も対戦していて、お互いの強みも弱みも熟知している。ドイツにとってポーランドとの相性はすごくいい。これまで14試合をやってドイツ側の10勝4分無敗、得点26、失点7。史上最強のメンバーを揃えた74年大会のポーランドは、雨中の激闘を繰り広げ初勝利目前まで迫りながらも、ドイツの精神力の前に涙を呑んだものだ。旧西ドイツはこうして圧倒的な優位を誇った。なお旧東ドイツは19回対戦して、ポーランドの9勝4分6敗。得点26、失点27と分は悪くない。
さてコスタリカとエクアドルである。実はドイツはこの両国と一度も対戦したことがない。つまりどんなことをしでかすのか見当がつかない相手なのだ。そこでチームは試合分析の専門家ウルス・ジーゲンターラーを中心に両国の試合ビデオを収集し、連日細かなチェックを行って、格下相手でも油断しないよう万全の準備を怠らない。これから行なわれる両国の親善試合にはクリンスマン監督もカリフォルニアの自宅から飛行機で会場まで飛び、敵状視察を行なうという。けっこう神経を尖らせてはいるのだ。
ミュンヘン、ドルトムント、ベルリンでの試合は圧倒的な地元ファンの大声援を受け、ドイツが怒涛の攻撃をしかけグループ1位を占めるのは確実だ。久しぶりに強いドイツをファンは見ることになるだろう。
こうして1次リーグは波も立たず風も吹かないが、本当の勝負は6月24日以降の決勝トーナメントからである。その相手はイングランドかスウェーデン。ここから正念場に突入だ。
だから私はドイツの親しい友人にはこう伝えた。「6月第3週まではビールでも飲みながらサッカー観戦を楽しみましょうよ。24日以後の保証がないわけだし」
冗談で言ったつもりだったのだが、彼は私のジョークをまったく理解せず、いきなり怒り出した。「ドイツが負けるものか。ベルリンで優勝トロフィーを掲げてやるぜ」と威勢がいい。ちなみにこれは、彼の初夢だったそうだが…。