MLB Column from USABACK NUMBER
ヤンキース「黄金時代」の到来か?
~アンチ・ヤンキースの憂鬱~
text by
李啓充Kaechoong Lee
photograph byMLB Photos via Getty Images
posted2009/11/20 10:30
9年ぶりのワールドシリーズ優勝後のパレードで、歓喜にわくニューヨーカー。沿道からは松井にたいして「MVP!MVP!」の大合唱がわき起こった。米メディアによると、100万人以上のファンが沿道を埋めたとのこと
9年ぶりのワールドシリーズ制覇を果たしたヤンキース、またぞろ、「金で優勝を買った」という非難を浴びている。
確かにヤンキースのチーム年俸額は2億140万ドルとダントツのメジャー1位(2位のメッツは、1億4940万ドル)。金の使いぶりがどれだけ凄まじかったかをご理解いただくために、以下、チーム内年俸上位6選手の年俸額(2009年度)を記す。
1. A-ロッド 3300万ドル
2. デレク・ジーター 2160万ドル
3. マーク・テシェラ 2060万ドル
4. A.J.バーネット 1650万ドル
5. C.C.サバシア 1530万ドル
6. マリアノ・リベラ 1500万ドル
A-ロッドの年俸一人分だけでマーリンズのチーム年俸3680万ドルにほぼ匹敵するのだが、A-ロッドとジーター、二人分を合わせると、マーリンズ、パドレス、パイレーツ3球団のチーム年俸額を上回る。
以下、ヤンキースの年俸上位3選手合算分よりチーム年俸額が低い球団は12、4選手で17、5選手で23となるのだが、上記6選手の年俸を合算しただけで、レッドソックスを含め27球団のチーム年俸額を上回ってしまうのだから、ヤンキースの財力がどれだけ図抜けているかがわかるだろう。
9年ぶりのWシリーズ制覇の決め手は予算配分にあり。
しかし、金をたくさん使えば自動的に優勝できるかというとそんなことはなく、現にヤンキースは、ここ8年間メジャー最多のチーム年俸額を払い続けながら優勝から遠ざかってきた。なぜかというと、「金の使い方が拙かった」からである(ちなみに、チーム年俸額2位のメッツは今季70勝92敗と大きく負け越し、「金の使い方が拙い」チームの最右翼に躍り出た)。
ヤンキースは、今季、サバシア、バーネットとエース級投手二人をFAで確保した上、テシェラの獲得で打撃に加えて守備をグレードアップさせるなど、「うまく金を使った」ことが圧倒的な強さを見せつけて優勝を達成する決め手となった。