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いよいよ開幕、今季の見所はこれだ! 

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小尾慶一

小尾慶一Keiichi Obi

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photograph byNBAE/gettyimages/AFLO

posted2005/11/08 00:00

 NBAファンにとって、秋の終わりはシーズンの始まりを意味する。今季の開幕は11月1日。これから約8ヵ月間、ゲーム数にすると最大110試合に渡って、東西30チームによる熾烈な闘いが繰り広げられる。

 その中で、東カンファレンスのマイアミ・ヒートは絶対に見逃せないチームだ。昨季の段階でスーパースター2人──パワフルセンターのシャキール・オニール、驚異的な突破力を誇るドゥエイン・ウェイド──を擁する強豪だったが、このオフに大型補強を敢行。パスの芸術家ジェイソン・ウィリアムズ、元ドリームチームのゲイリー・ペイトン、3Pシュートも得意なビッグマンのアントワン・ウォーカーが加入し、破壊的な攻撃力を持つスター軍団に生まれ変わった。守備やチームワークに不安は残るが、うまくかみ合えばファイナルへの道を一気に駆け上がるはずだ。

 だが、一番の優勝候補はやはり昨季の王者サンアントニオ・スパーズだろう。ヒートのような派手さはないが、おそらく現時点で最強のチームだ。世界最高のビッグマンと称されるティム・ダンカンを中心に、ロースターのバランスが非常に良い。PGのトニー・パーカーはスピード、SGのマニュ・ジノビリはうまさ、SFのブルース・ボウエンは守備、各ポジションに適材適所で好選手をそろえ、攻守両面で隙を見せない。オフの補強にも成功し、さらに圧倒的な存在になった感がある。

 この2チームに比べると見劣りするが、東のペイサーズと西のロケッツにも芽はある。

 昨季、ペイサーズはプレイオフ2回戦で敗れた。その一番の要因は、乱闘事件で主力が出場停止になったこと。チームの柱である両フォワード、ジャーメン・オニールとロン・アーテストがそろって出場するだけで、自然と成績は上がるだろう。新加入の欧州ナンバーワンPG、サルナス・ヤシケビシャスも楽しみな選手だ。彼が計算以上の働きを見せれば、東カンファレンスの行方はまったくわからなくなる。

 ロケッツも飛躍の可能性がある。チームの中心となるのは、203センチのトレイシー・マグレディと、229センチのヤオ・ミン。若きデュオとしてはリーグ随一の存在で、26歳、25歳という若さを考えると、個人能力の伸びも期待できる。このオフにフロントが絶妙な補強を見せたことも大きなプラスだ。そこそこの成績に終わることも考えられるが、スパーズの緻密な守備を破れるのは、ロケッツが持つ規格外の力──マグレディの爆発的な得点力とヤオの高さ──だけかもしれない。

 また、優勝争いとは別に、西のロサンゼルス・レイカーズも気になる。何といっても、ヘッドコーチに復帰したフィル・ジャクソンと、スターSGのコービー・ブライアントには注目である。ジャクソンは9度の優勝を誇る名将で、「禅マスター」の異名を持つ。昨年は仲違いする形でチームを離れ、著書の中でコービーを痛烈に批判。そのしこりが残る中、ジャクソンはコービーという最高の駒を使いこなすことができるだろうか?

 カーメロ・アンソニー擁するデンバー・ナゲッツや、レブロン・ジェームズ率いるクリーブランド・キャバリアーズなど、おもしろいチームはまだまだある。2月のオールスター、4月からスタートするプレイオフ、そして、頂上決戦となる6月のファイナルまで、NBAをじっくり味わおうではないか。

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