Number ExBACK NUMBER
ルーカス・ポドルスキ 「ゲルマンの異端児」
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
posted2006/09/14 22:24
女子アナの一件でもわかるように、性格が悪いというよりは、ただのいたずら好きなのである。ビルト紙がドイツ代表のヒエラルキーを特集したとき、ポドルスキは“いつも冗談を言っている人”に分類された。
たとえば、「プレイヤー」という雑誌が、取材のためにポドルスキとアポイントをとったときのことだ。スタッフは何度も断られてやっとこぎつけた取材なので、ハラハラしながら彼の到着を待っていた。
するとポドルスキの代理人から、電話がかかってきた。
「最悪のニュースだ。ポドルスキが昨日の試合でケガをしてしまった。今日はミュンヘンに飛んで、ドクターの診察を受ける。申し訳ないが、取材は諦めてくれ」
突然のキャンセルに呆然とする編集者たち。だが、その電話の数秒後にドアが開き、ポドルスキが部屋に入ってきたのである。
代理人がすぐに謝った。
「どうしても、彼がドッキリをやりたいと言いまして……」
ポドルスキは、インタビュアー泣かせとしても知られている。中田英寿のようにムスっとしているのではなく、逆にふざけて、まともに答えてくれないのだ。
──ボールのないところでの動きが課題だと思うのですが?
「ボールなしのプレー?― ボールがなかったらシュートを打てないじゃないか」
──スターになるのはどんな気分?
「いいところもあるし、悪いところもある」
──ゴールの秘訣は?
「迷う前に打て!」
ポドルスキは、タバコは吸わないし、アルコールは一滴も飲まないし、ディスコだって行かない。でも、人にちょっかいを出すのは大好きで、真面目なのか、不真面目なのか、わからないようなタイプなのである。