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意外な形で実現した、
女子格闘技界の頂上決戦!
 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph bySusumu Nagao

posted2011/05/10 10:30

意外な形で実現した、女子格闘技界の頂上決戦!<Number Web> photograph by Susumu Nagao

神村エリカ(写真右)の左フックがRENAの顔面を捉える。左フックを決め手として神村はRENAから2度のダウンを奪うというエキシビジョンを超えた戦いを繰り広げた

 女子立ち技格闘技の“頂上対決”は、大会前日に突如として決定した。

 4月23日のシュートボクシング後楽園大会で、同団体の女子トップ選手であるRENAは韓国のキム・スンヨンと対戦する予定だった。ところが、大会直前になってキムが来日をキャンセル。余震や放射能の問題を恐れた両親に止められたのだという。

 団体側は代役を探したが、女子トーナメント『Girls S-cup』を連覇したRENAと満足な準備なしに闘おうという選手などいるはずもなかった。だからといって、看板選手を欠場させれば興行の軸の一つを失うことになる。最後の手段として、シュートボクシング協会はキックボクシングジム『TARGET』に連絡する。狙いは神村エリカとのエキシビションマッチだった。

交差することがなかった、女子格闘技界の若き二人のエース。

 19歳のRENAに対し、神村は18歳。RENAはデビュー当時から“女子高生ファイター”として注目され、神村もアマチュア時代から“最強中学生”の異名を誇った。RENAはシュートボクシングのトーナメントを2度制し、神村はキックボクシング・ムエタイで2本のベルトを奪取している。

 相似形のキャリアを描いてきた若き女王同士の対決は、ファンなら誰もが熱望していたものだった。だが、これまで二人が交わることはなかった。RENAが所属するシュートボクシングは、打撃だけでなく投げ技、スタンドでも絞め・関節技も有効。一方の神村はキック・ムエタイの選手で、シュートボクシングでは禁止のヒジ打ちを使いこなす。主戦場、そのルールだけでなく階級もわずかだが違っている。選手としての価値を高めれば高めるほど対戦のリスクも大きくなっていった。RENAと神村のキャリアは相似形だが、平行線でもあったのだ。

 そんな二人の闘いが、いきなり実現することになったのだから衝撃は大きかった。大会前日の昼に決定した3分1ラウンドのエキシビションは、夕方の記者会見で発表されると大きな話題を呼んだ。

 通常、エキシビションマッチはスパーリング程度の攻防か、派手な技の“見せ合い”で終わることが多い。だが二人の女王がリングで対峙する以上、ただの顔見せで済ませることはできなかった。両者とも防具なしでの実戦形式を了承。主戦場こそ違えど互いを意識してきたRENAと神村は、ゴングが鳴ると全力で潰し合った。

【次ページ】 お互いが本気で戦う、エキシビションマッチ。

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