スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
バティスタと大化け相場。
~2年連続HR王を狙う「危険な男」~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2011/05/09 10:30
5月1日現在、バティスタの本塁打数は、リーグ首位の9本だ
不器用さを補ってあまりある「危険な打者」の破壊力。
たしかにバティスタは、アルバート・プーホルスやAロッドではない。全方位に長打を打ち分けることはできないし、インサイドアウトの打法を身につけているわけでもない。
だが、彼の打球の速さは群を抜いている。
ライアン・ハワードやライアン・ブラウンらと比べても、観客席へ飛び込むバティスタの打球は猛烈に速い。その基本には眼と手の連動がある。まぐれ当たりとは思わせない力強さも感じさせる。
そこで私が思い出すのは、1970年代中盤のジョージ・フォスターだ。'48年生まれの彼は、'74年に7本の本塁打しか打てなかったのに、翌年以降、23本→29本→52本とどんどん破壊力を増していった。'76~'78年の3年連続打点王、'77~'78年の2年連続本塁打王も、すべてこの時期の産物である。
今季のバティスタは、いまのところ打率も高い(3割5分7厘)。4月に記録した28個の月間四球数は大リーグ最多だし、5割3分0厘の出塁率も、「危険な打者」に成長した証と見てよいだろう。となると興味の焦点は、2年連続本塁打王の獲得が可能か否かだ。私は、彼を本命に推したい。ミゲル・カブレラ、Aロッド、ポール・コナーコなど対抗馬は少なくないが、上げ相場にかかったバティスタの勢いはア・リーグ最強ではないだろうか。
※バティスタの成績は5月1日時点のもの