詳説日本野球研究BACK NUMBER
好発進だった斎藤&澤村の課題は、
アンバランスな投球術の修正にあり。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/05/08 08:00
4月21日の阪神戦でプロ2度目の先発マウンドに立った澤村は、ピンチの連続も変化球を効果的に使い、7回を6安打1失点に抑えてプロ初勝利を挙げた
澤村は直球を活かすためのカーブを有効に使うべき。
変化球はスライダー、フォークボールが主体で、カーブをあまり投げない。
キレがよくないのかというと、そんなことはない。横にブレない縦割れ変化で、落差も十分ある。スピードは115~120キロくらいで、フォークボール140キロ台、スライダー135キロくらいにくらべストレートとの緩急をつけやすいボールで、大学4年秋には今より多く投げていた。
「4年の秋はほとんどカーブでカウントを取ってましたね。ストレートが2つ高めに浮いて0-2になって『あっ俺、力んでるな』と思ったときに、カーブをポンと投げてストライクを取るという感じですね」(『ジャイアンツ2011』[読売新聞東京本社]より)
力みを解消するために少し混ぜるという感覚ではなく、ストレートとの緩急をつけるために投げる。筆者としては……脱力の感覚を取り戻し、ストレートのキレを増すためにも、カーブはもっと多く投げるべきだと思うがどうだろう。
ともに順調な滑り出しを見せた2人の課題は、斎藤がストレート、澤村がカーブと、持ち味とは正反対の球種にたどり着いた。表現を変えれば「アンバランスなピッチングスタイルをバランス型に改めてほしい」ということである。