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面白さが凝縮された、「怪物不在」の甲子園。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2007/09/06 00:00
第89回夏の甲子園大会を放送するABC朝日放送のキャッチフレーズは「怪物出現」だった。大阪桐蔭の怪物スラッガー、中田翔の出場を見込んで作った惹句である。しかし、大阪桐蔭は大阪大会決勝で金光大阪に敗れ、多くの関係者は落胆した。昨年、甲子園球場を興奮の坩堝に巻き込んだ斎藤佑樹(早稲田実)や田中将大(駒大苫小牧)のような中心軸の役割を中田に期待したからだ。
開幕前から中心軸はブレていたわけだが、開幕すると活躍が期待された有力校が次々と序盤戦で姿を消し、中心軸はさらにブレ続けた。1回戦で金光大阪、駒大苫小牧、報徳学園が、2回戦で、最速155キロの豪腕・佐藤由規擁する仙台育英が、準々決勝で帝京が敗れた。いずれも人気があり、選手の能力も高いチームだから関係者は青ざめた。このままでは甲子園球場に閑古鳥が鳴いてしまうと。