プロ野球亭日乗BACK NUMBER
闘将・星野が継承した“情”の采配。
「御大」の言葉は奇跡を起こすか?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byShigeki Yamamoto
posted2011/04/16 08:00
今季8年ぶりの現場復帰を果たした楽天・星野監督。昨年日本一のロッテとの開幕戦で手にした白星は、実に2741日ぶりの勝利だった
星野楽天に流れる“人間力”は非常時に強さを発揮する。
選手がここぞという場面で想像を越える力を発揮している。
やはり情によって選手の潜在能力を引き出すタイプの監督は、こういう非常時の局面になると強さを発揮する、ということなのかもしれない。
島岡御大は勇退と復帰を繰り返しながら戦後の37年間にわたって明大野球部の指導者として君臨し、1953年の秋には戦後初の六大学野球リーグ戦優勝を遂げ、大学創立100周年の'81年春のシーズンでも天皇杯を母校にもたらした。
節目のとき、いざというときこそ、「何とかせい」の掛け声とともに、本当の「底力」を発揮する島岡イズムは、星野楽天にも受け継がれている。そして経験したことのない未曾有の災害の中で、いま日本人に必要なのも、そういう“人間力”でもあるような気がする。