オリンピックへの道BACK NUMBER
五輪候補がひしめく柔道女子48kg級。
福見、浅見を山岸絵美が猛追する!!
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byShino Seki
posted2011/04/13 10:30
谷(亮子)選手を追っていたときとの心境の差を、「焦りというのは無く、無かったからこそ、逆にマイペースにできました」と語った山岸絵美
スポーツでは、好敵手、ライバルの存在の大きさがしばしば語られる。
4月2、3日に行なわれた柔道の全日本選抜体重別選手権もまた、それを実感させた大会であった。
今年8月にパリで行なわれる世界選手権代表選考を兼ねた今大会は、いつもとは異なる趣の中で行なわれた。
4月5~7日にアジア選手権があり、そちらに出場する日本代表選手は欠場したためだ。アジア選手権の代表の中には、66kg級の森下純平、52kg級の西田優香、63kg級の上野順恵ら、昨年の世界選手権優勝者が含まれていた。
彼らは実質的に世界選手権代表に内定した上で、選抜体重別を欠場し、アジア選手権に出場した。これらの階級は、残り1枠をかけての戦いとなった。
一方で、有力選手がそろって選抜体重別に出場したのが、女子の48kg級だった。
世界ランク1位に福見友子(25)、2位に浅見八瑠奈(23)、5位に山岸絵美(24)。他にも近藤香(22)、伊部尚子(23)ら力のある選手がひしめく階級である。
絶対的存在はいない。
だからこそ、有力選手が欠場した他の階級のように、誰か一人に内定を出して、アジア選手権にまわすわけにはいかなかった。
世界ランク5位の山岸には五輪への希望を繋ぐ優勝となった。
その48kg級を制したのは、山岸だった。
1回戦で一本勝ちすると、準決勝の福見、決勝の浅見との試合は延長にもつれ込む熾烈な戦いの末、ともに旗判定(2-1)で勝利し、この大会、3年ぶりの優勝を飾った。
試合直後、山岸は言った。
「気持ちで負けたくなかったです。この大会で負けたら先は見えなかったと思っていました」
'09年の世界選手権で優勝し、その翌年にも準優勝している福見。'10年の世界選手権で優勝を飾っている浅見。山岸がそのふたりに対し、実績で遅れを取っているという感は否めない。