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負けじ魂を貫いた、武双山の美しき引退。
text by
服部祐兒Yuji Hattori
posted2004/12/16 00:00
潔すぎる引き際。九州場所4日目、大関武双山が、現役引退を表明した。6度目のカド番で迎えた今場所、初日から全く見せ場すら作れない完敗続きの3連敗。特に最後の相撲となった黒海戦では、馬力が身上の武双山が完全に圧力負けした屈辱的な内容だった。限界を悟った武双山は、師匠の慰留も受け入れず、小学校4年生から始めた22年間の相撲人生に幕を下ろした。
武双山の相撲版「巨人の星」の話は、あまりにも有名だ。国体出場16回の父・正人さんが自宅に作った土俵で、マンツーマンのスパルタ稽古。さらに食事でも妥協は許されず、テーブルいっぱいの朝食を平らげるまで学校には行かせてくれなかった。細身だった武双山の身体が、相撲サイボーグと化すのに、あまり時間はかからなかった。水戸農高ではインターハイ・国体を制覇、次いで専修大3年でアマ横綱となった武双山は、迷わず中退して幕下付け出しでデビュー。ここに父子の夢である「両国の星」となる戦いが始まった。