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「ミッチェル・レポート」
深すぎる薬剤汚染の闇。
text by
李啓充Kaechoong Lee
photograph byYukihito Taguchi
posted2008/01/17 00:00
12月13日、元民主党上院院内総務ジョージ・ミッチェルがMLBにおける薬剤汚染についての調査報告を発表、全米に衝撃が広がった。ステロイド・ヒト成長ホルモンなどの薬剤を違法に使用/購入したとされる選手が90人、うち、オールスター選出経験のある選手が29人と(数字はUSAトゥデー紙)、予想されたとはいえ、MLB全体が薬剤汚染の「カルチュア」に蝕まれてきた事実が改めて再確認されたのである。
今回のミッチェル・レポートで汚染選手として名が上げられたスター達の中でも、最大の「目玉」が、ロジャー・クレメンスだった。通算354勝(史上8位)、サイ・ヤング賞受賞7回(同最多)と、「野球史に残る名投手」としての実績を誇ってきたが、1998年以降の成績は薬剤でかさ上げされたものである疑いが極めて濃厚となったのである。薬剤使用を暴露したのは、元トレーナー、ブライアン・マクナミーだったが、たとえば'98年のシーズン、6勝6敗防御率3.27と「並み」の成績だったクレメンスが、ステロイドを注射するようになった途端、14勝0敗防御率2.29と、「超人的」投手へと変身したのだから、その効果は絶大だった。