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CLベスト8進出なのに……何故?
マガト監督、シャルケ解任劇の謎。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byItaru Chiba
posted2011/03/29 10:30
シャルケ解任直後に、古巣のヴォルフスブルク監督に就任したマガト。降格圏内のチームを救うことができるか
マガトに請われた内田は「恩返し出来なかったのは悔しい」。
結局のところ、いくつもの理由が絡みあい、マガトは去るべくしてシャルケを離れることになったのだ。
ただ、困惑したのはマガトの誘いを受けてやってきた選手たち。
ラウールも、フンテラールも、メツェルダーも、そして日本代表の内田篤人もマガトに口説き落とされる形で、シャルケのユニフォームに袖を通したからだ。マガトがクラブを去った直後、内田も「サッカーをやっていく中でこういうことはある」と言いながら、複雑な心境を明かしている。
「マガトさんに呼んでもらって、挑戦を始めたわけですけど、その監督に恩返しを出来なかったのは悔しいですよね。本当にね、私生活の面でも気をつかってくれたし。『疲れていないか?』とか、『しっかり寝られているか?』とか……あまり他の人にはそういうこと言わないらしいですけど、僕には言ってくれていたので」
後任監督は6年ぶりに再登板するラングニックに決定。
マガトの後任には、2004-2005シーズンの途中からおよそ1年2カ月にわたり、シャルケの指揮をとった経験のあるラングニックが選ばれた。彼は、今年の1月初頭までホッフェンハイムの監督を務めていた。
「このチームに戻ってこれて特別な感情が湧いている。これまでの戦いでは、アイデアを欠いていたと感じている。これからの数週間でチームのプレースタイルを深化させるつもりだ」
そんな言葉とともに、就任会見に臨んだラングニック。
しかし、初めての試合となる4月1日のザンクト・パウリ戦の4日後には、アウェイでインテル・ミラノとのCL準々決勝のファーストレグを戦うことになる。クラブ史上はじめてのベスト4入りをかけた試合まで、残された時間は多くない。果たしてシャルケは、異常事態の中で思うような結果を残せるのだろうか。