NumberPREMIERでは“世界一諦めの悪いチーム”・帝京大学を徹底解剖。近日中に10区を走った鎗田大輝選手、前キャプテン・柴戸遼太選手という4年生2人の動画インタビューも公開する。
帝京大の選手たちは、今年の箱根駅伝で“5強崩し”を目標に掲げていた。それが決して夢物語ではないことは、本番1週間前に千葉・富津で実施した10kmのタイムトライアルの結果が証明していた。
その結果を、中野孝行監督は「過去最高の出来でした」と振り返る。自分のペースで5区の準備をしていた浅川侑大(3年)を除けば、28分32秒の楠岡由浩を筆頭に9人が28分台の好記録で走った。
「直前に故障があった選手もいましたが、この10人しかいないっていうメンバーを置くことができたのは大きかった。逆に、もっと悩ませてくれても良かったんですけど(笑)」
奇しくも、トラックの1万mの自己ベストでチーム上位10人が、箱根駅伝の出走メンバーに名前を連ねた。それほど順当なオーダーを組めたということだ。
「当初は、そんな簡単に『5強崩し』って言うんじゃないよ、と思っていましたが、最後の調整を見て、これなら5位は行けると思いました。他力本願にはなりますが、それ以上もあるかもしれない、と」
ところが、箱根駅伝では序盤から誤算が続く。自信を持って配した1区の原悠太(3年)が、まさかの区間19位と出遅れた。さらに、満を持して花の2区に登場した楠岡は6km付近で不安があった右の足底に痛みが出てしまい、最下位に転落。2区を終えてトップとは8分59秒もの大差が付き、シード権ラインの10位にも7分以上の遅れをとった。
「箱根駅伝も実業団駅伝も高校駅伝も、1個のミスが致命的な時代。そう考えれば、ミスがなければある程度の順位までは行けるということですが、1区、2区はかなりのディスアドバンテージになってしまった」
5強どころかシード権さえも厳しい状況に立たされたことは、中野監督も認める。

それでも、これほどの危機的な状況でも、指揮官がネガティブな思考に陥ることはなかった。
「実を言うと、シード権を獲れるか獲れないかっていうことは一切考えなかった。シード権を落とすっていうイメージがなかったんです。あとの8区間で何か面白いことができないかなって考えていました。だから、ネガティブなことは一切考えなかったです。不謹慎かもしれないけど、良い意味でのワクワクドキドキがありました。彼らは必死になって1年間努力してきた。彼らが諦めていないのだから、私が諦めるわけにはいかなかったです」
そして、3区の島田晃希(4年)が単独最下位という難しい状況ながら区間5位と好走し逆襲の狼煙を上げると、4区以降もそれに続く。往路を終えて17位。シード権の10位に4分15秒差にまで盛り返した。
「1日で5分やられたんだから、1日で5分返せるだろうって、ちょっと乱暴だけど、復路を走る選手には言いました。そしたら彼らも『僕らもそう思っていました』って言うんです。だから、これは面白くなりそうだねって思いましたね」

そして、中野監督の予感は的中する。復路では“世界一諦めの悪いチーム”がその真骨頂を見せた。6区以降も着実に順位を上げて、シード権ラインにぐんぐん近づくと、最終区では一気に9位に浮上し、シード権を死守したかたちだ。
動画インタビューでは、この奇跡のシード権獲得の舞台裏をじっくりと中野監督に振り返ってもらっている。
エース楠岡の箱根駅伝後の状態、そして未来は?
動画では、以下のようなトピックについても触れている。
- 箱根駅伝で受けたショックの中身
- 1区・原、2区・楠岡に異変の前兆はなかったか?
- エース楠岡の箱根駅伝後の現状「13分台ランナーも伸びる」
- 「あそこまでいくとすごい」島田晃希の自然体なキャラ
- 「教科書に載せたい男」鎗田大輝の4年間
- 最終10区に鎗田を配した理由は?
- 新年度はルーキーにも注目「面白いよね」
- 山の専門家を「作るべきじゃない」ワケ
- 新チームは「より強いチームに」
- 中野監督が心に抱える「見えない目標」とは?
今回の箱根駅伝では4年生の活躍が目立ったが、新4年生にも有力選手が揃う。2月1日の日本学生ハーフマラソン選手権ではさっそく、浅川侑大が帝京大記録を樹立。さらに、ハーフマラソンの日本人高校最高記録を持つ松尾航希(市立船橋高・千葉)をはじめ有力新人も複数名が入学予定だ。
目標に掲げた“5強崩し”は持ち越しとなったが、新シーズンも注目の帝京大。就任21年目となる中野監督の55分のインタビューは必見だ。(2月25日取材)
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