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【動画】「仲悪い感じのチームは嫌だなって」島田晃希が語る“世界一諦めの悪いチーム”での役割とエースの座への思い「ハーフでは楠岡に負けたくない」《徹底解剖:帝京大学2025②》
NumberPREMIERでは今季の帝京大学を徹底解剖。中野孝行監督の2本立てインタビュー動画(前編と後編)に続き、楠岡由浩選手の動画インタビューも公開中だ。
「去年までは山中(博生)さん以外には負けないって思っていたんですけど、今年の夏合宿の仕上がりを見て、5kmや10kmは楠岡(由浩、3年)には勝てないかなって(苦笑)。長い距離なら……ハーフはまだ負けたくないなって思いがあります」
“帝京大学のエースは自分自身だと思いますか?”という問いに、島田晃希は笑みを浮かべながらこう答えた。
前回の箱根は1区の大役を担い区間5位の好走を見せると、今季は出雲2区で区間7位、全日本はエース区間7区で区間5位。三大駅伝では過去6度の出走すべてで区間一桁順位をマークするなど、島田はコンスタントに好成績を残している。
今年は駅伝以外でもロードレースで力を発揮。日本学生ハーフマラソンでは、従来の大学記録を1分以上更新する1時間00分56秒をマークすると、6月にはオーストラリアで行われたペッパーズサイロハーフマラソンで大会記録を更新して優勝を果たした。
実力者でありながら、トラックに関しては後輩である楠岡の成長を素直に認める。“エース”を自認するに足りる成績を残しながら、偉そうにはならず、後輩の成長を素直に口にできる。自分の立ち位置を理解しつつ、ほかの選手の良さをまっすぐに評価できる。いつも自然体で素直、これが島田という選手を語る時に欠かせない「人間性」だ。

島田を取材し始めたのは、彼が大学1年生の時。中野孝行監督が「おもしろいよ」と、当時からそのポテンシャルに期待を寄せていた。島田は、入学してすぐに膝を痛めると、6月には右脚の大腿骨を疲労骨折、さらに9月には左脚大腿骨を疲労骨折と故障を繰り返しながらも、ジョグを再開しておよそ1ヶ月半で出走した上尾シティハーフマラソンで1時間03分34秒をマーク。初ハーフながら距離への適応力の高さを見せた。
過酷だったであろう故障のことや復帰段階のことを、ニコニコしながらあっけらかんと話す姿に、当時からどこか普通ではない感覚を持つ選手だと感じていた。会話の端々に出てくる価値基準が独特で、ほかの選手とは引っかかるポイントが違う。良い意味で“型にはまらない”。一方で、「このままケガばっかりしてちゃだめだなと思い、ほかの選手を見て比較分析していました」と語るなど競技に対してはいつも真っすぐで、何か大きなことをやってくれそうな雰囲気があった。
「自分はおちゃらけているタイプなので、キャプテンというよりは何も役職のない状態でのびのびやるのが1番あってるかなと(笑)」
こう話す島田に、動画インタビューではキャプテン・柴戸遼太のこと、「人柄的に好き」という早稲田大学・山口智規選手のこと、魅力の一つでもある“うっかりエピソード”についても語ってもらっている。

「去年は山中さん、小林(大晟)さん、福田(翔)さんと強い4年生たちがいる中で、箱根10位。自分たちとしては結構仕上がっていた中で10位、シード権にもギリギリでした。出雲も入賞ギリギリの8位、全日本もシード圏内ギリギリの8位。“今のままじゃダメだ”っていう意見が、(今年の)4年生の代、3年生の代、それぞれの学年別のミーティングで出てきました。そこで今年は『監督が立てた設定ペースよりもちょっと速いペースでみんなでやろう』っていう形になって。ペースが遅ければ『ちゃんと引っ張れよ』という声も上がりますが、ペースが上がっても『速すぎだろ』みたいに言うのはなくそう、と」
今季のチームの強さの背景を、島田はこう話す。学生が自主的にペースを引き上げることで、練習の質は確実に上がった。「去年だったら“良い練習できたな”っていう内容が、今年はベースになっている」そうだ。
さらに、特筆すべきはチームの風通しの良さだろう。
「柴戸の意見で、仲悪い感じのチームは嫌だなって。先輩後輩というよりは全員対等という感じのチーム作りをしてきました。自分はふざけることが多いので、立ち位置的にはあんまり変わらなかったんですけど(笑)。後輩との接し方は変えず、練習面では4年生としてしっかり切り替えてやろうと考えていました」
柴戸は以前「今年は上のチームだけでなく、全員が箱根での目標達成を目指せるチームにしようと取り組んできた」と言っていた。そのために誰かの自主性を封じるのではなく、それぞれの自主性を受け入れる。自主性が発揮できる環境を整える。島田の持つ柔らかい空気感は柴戸の方針と噛み合い、帝京らしい風通しの良い文化を形づくっている。
ライバルとして「馬場賢人」を挙げる理由
島田らしさがあふれる動画インタビューでは、そのほか以下のことに触れている。
- 「ハーフは負けたくない」楠岡由浩(3年)の成長
- 日本学生ハーフは「三重県記録を意識」
- ライバルは「立教大・馬場賢人」
- 「絶対戻ってくる」不調でも信じられた柴戸遼太キャプテン
- 「仲が悪いチームは嫌」今季のチーム作り
- チームの変化——“5強崩し”に向けて
- 「人柄的に早稲田・山口智規選手が好き」
- 驚きの“うっかりミス”エピソード
- 「卒業後はマラソンで勝負したい」
“エース”としての顔、“おちゃらけキャラ”の一面、ほかの選手への優しい目線。島田晃希の魅力がつまったインタビュー、ぜひご覧ください。(11月12日取材)
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