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二子山親方、55歳の逝去。その早過ぎた死を想う。

2009/03/08

 夏場所後の5月30日、本場所間の巡業もなく、力士たちがやっと一息つけるのを待つかのように、二子山親方の壮絶な闘病生活に終止符が打たれた。55歳という余りにも早過ぎる死。名大関として歴代1位の在位50場所を記録、引退後も2人の息子を揃って横綱に育てあげるという離れ業を演じた親方をしても、がんに打ち勝つことはできなかった。

 角界のプリンスとして絶大なる人気を誇った現役時代の全盛期。当時中学生だった私の印象は「格好いい」の一言。小さい身体で、どんな大きな相手に対しても真っ向勝負の土俵魂。クールな顔の裏に秘めた不屈の闘志は「決してあきらめない相撲」で示された。輪島や北の湖との死闘以上に記憶に残るのは、北の富士を弓ぞりから投げ「つき手・かばい手」論争を起こした取組や、高見山との土俵際での投げの打ち合いで顔から土俵にのめり込んでいった取組。その強靭な足腰を最大限に活かしての驚異的な粘りは、常識では計れない数々の衝撃をファンに与え続けた。

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photograph by Masahiko Ishii

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