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【エッセイ】「胸のドキドキはしばし収らなかった」彬子女王が綴る高校野球への愛と誇り…甲子園で観た横浜と“あの高校”の激戦とは?《彬子女王・特別寄稿》

2025/08/27

 高校野球は「定点観測」である。子どもの頃は、かっこいいお兄さんたちがキラキラした目で、汗を流して頑張っている姿がとてもまぶしかった。でも、大学生になり、何気なくテレビの画面を見ていたときに気付いてしまった。「映っている子たち全員年下か」と。思えば、初めて自分が年を取ったと感じたのは、高校野球を見ていたときだったと思う。その後、随分時間が経って、数年前。「私、この子たちのお母さんでもおかしくないんだ」と気付いたとき、また急激に年を感じた。往年の名物監督さんたちが最近は次々と引退され、私より若い監督さんも増えてきている。私にとって高校野球は、時の流れを感じさせてくれる指標にもなっている。

 去年はひょろっとしていた二年生ピッチャーが、今年はがっしりとして主将を務めていることに驚いたり。数年前はアルプススタンドでメガホンを持って応援していた少年が、お兄さんと同じユニフォームを着て行進している姿を見て、「大きくなって……」と、久しぶりに会った親戚のような目線になってしまったり。「日本文理の夏はまだ終わらない!」の試合を現地で見ていた少年が、日本文理で野球をしたいと日本文理に入り、甲子園に出場したのみならず、再び「日本文理の夏はまだ終わらない!」と言いたくなるような熱戦を見せてくれたりすることに、いつも涙腺はゆるんでしまう。定点観測をしていることで、より鮮明に見えてくる物語が甲子園にはあるのである。

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photograph by SANKEI SHIMBUN

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