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《引退インタビュー》「ピッチャーだったらなって」中田翔が何度も考えた野球人生の『if』と今後のビジョン「いろいろ炎上しましたけど…」
中田翔は、人生で一度だけ訪れる特別な季節の中にいた。ユニフォームを脱いだ者はその年の秋、勝負の重圧からも、肉体との戦いからも解放され、ゆったりと流れる時間の中で未来図を描くことができる。何より、後ろを振り返ることが許される。
これまでは常に次の戦いに目を向けなければならなかったが、今だけは“もしも、あのとき……”と、どんな夢想も許される。この束の間の時間に、中田の胸に去来するものとは何だろうか。
「プロ入って一発目に『このビッグマウスのガキは』っていうところから、中田翔という人生がスタートして、実際本当にキャラ作りっていう部分もありましたし、もっと当たり障りなくやっとけば、こんなに炎上しなかっただろうなって思う部分はありますよ。それを後悔してるわけでもないんですけど。もし何か挙げるとしたら、世渡り上手じゃないすけど、そういう感じでやってたら、またどうなってたのかなと」
茶髪に細眉で睨みを利かせる。その風貌と強気な言動から「大将」と呼ばれ、北海道日本ハムファイターズ時代には「北のジャイアン」の異名も取った男は意外にも、番長然としたキャラクターを背負わなければどんな人生だったか、と考えていた。
「入ったばっかりで二軍にいた時はたぶん単純にアホやったんですよ。『(高級アクセサリーブランドの)クロムハーツが好きなんで、小遣い30万円でも全然足りひんわ』ていう発言とか、あの頃の僕を今の僕が見れば、ダセエなこのガキって思うはずだし、それが世間一般の見方だったと思うんです。グラウンド行くときに『ああ今日、練習ちょっとめんどくせえわ』って言いながら歩いてたら次の日、『中田、練習めんどくせえ』で(新聞の)一面です。そうやって叩かれて、この調子でペラペラ喋っとったらあかんなっていうのが初めて分かったので。そこから猫かぶれば、当たり障りなく生きるのは可能だったと思うんですけど……」
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