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【Jリーグ】鹿島アントラーズ・早川友基が、ユニフォーム交換を願った相手とは?「プロのGKにだって“憧れの人”はいる」

2024/06/27
大卒4年目の早川。セービングの技術だけでなく、左右両足からの正確なキックで攻撃の起点ともなる
 速報記事やSNSのポストがWeb上に溢れる中、試合を取材して書く「マッチレビュー」にはどんな可能性が残されているのか。長年日本サッカーを第一線で取材している編集部・松本宣昭が、そんな自問自答をしながら綴っていく連載コラム<最後尾からのマッチレビュー>。 速さを捨てた、切り口勝負の企画、NumberPREMIERで月に1回程度掲載予定です。お楽しみ下さい。

 編集者として、公私混同を告白します。9年前の冬、名古屋市内のホテルの一室で取材対象者にたった一度だけお願いしたことがある。

「一緒に記念撮影、いいですか?」

 仕事に私事を持ち込むべからず。それは百も承知。でも、欲望に打ち勝てなかった。なぜなら目の前に、この2人がいたから。

 川口能活と楢﨑正剛。

 学生時代、187cmの長身だけが取り柄のGKだった筆者にとって、憧れの人たちだ。当時は川口モデルのスパイクを履いて、楢﨑モデルのグローブをはめてボールに飛びついた。汚れるのが嫌だから、雨でグラウンドがドロドロの日は部室に温存したけれど。

 そんな2人の初対談でインタビュアーを務めた。取材を終えてもまだ緊張でガチガチ。メンタルの弱さを露呈する編集者を間に挟んで、レジェンド守護神たちは笑顔で写真に納まってくれた。もちろんその1枚は、宝物になった――。

Number874号に掲載した川口と楢﨑による初対談 ©Takuya Sugiyama
Number874号に掲載した川口と楢﨑による初対談 ©Takuya Sugiyama

 取り柄がいくらでもあるプロのGKにだって「憧れの人」はいる。

 6月1日、J1リーグ第17節・鹿島アントラーズvs.横浜F・マリノス戦。その開始数時間前、鹿島のゴールマウスに立つ25歳・早川友基は、スターティングメンバー表を見て心躍らせた。相手の先発リストの一番上に、この名前があったからだ。

 飯倉大樹。

 早川にとっての、憧れの人だ。

「僕は小学生の頃からマリノスの下部組織で育ちました。GKコーチに毎日指導してもらいながら、シュートへのステップだったり、キャッチの技術を学んできた。GKとしての総合的な能力は、マリノスで培われたんです。その当時から、マリノスを背負ってゴールマウスに立っていたのが飯倉選手。ずっとリスペクトしていましたし、『ああいうふうになりたい』と思っていました」

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photograph by KASHIMA ANTLERS

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