今年8月5日、人生の大先輩が富士山の頂に立った。
阿久沢幸吉さん。大正12年生まれの御年102歳。まさに前人未到のこの偉業は、ギネス世界記録にも認定された。
山頂に立った瞬間、幸吉さんは登山愛好会の仲間たちに囲まれながら「ありがとう」と声を振り絞った。仲間の皆さんにとってもとても幸せな瞬間だったはずだ。
年齢の限界を超え、幾つになっても夢を描き、挑戦し続ける。その力の源は、“自分のため”ではなく、“人のため”に生きるという幸吉さんの生き方にあると僕は考えている。100年を超える人生はもちろん、順風満帆な時ばかりではなかった。戦時中は軍用機の開発に携わった。戦後は、荒地を耕すところから生活を立て直した。
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photograph by Tamon Matsuzono
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