2025年6月、オクラホマシティ・サンダーのエース、シェイ・ギルジャス・アレクサンダー(以下シェイ)は、プロ7年目、26歳にして、NBAファイナルという未知の世界を経験していた。
「新しい経験だ。とても楽しい。子どもの頃から夢見ていたとおりだし、世界中のどこより、ここにいたい」
シリーズ中に、自身のこの先のキャリアについて聞かれたときには、こうも言った。
「すばらしいのは、この先どうなるかわからないこと、そして、どうするかは自分でコントロールできることだ。それがモチベーションになっている。真っ白なキャンバスほどすばらしいことはない」
思えば、シェイにとって、サンダーというチーム自体が真っ白なキャンバスだった。17年前にシアトルでの過去の歴史を切り離して移転し、オクラホマシティという小さな街に迎えられたチーム。初期にケビン・デュラントらを中心にNBAファイナルに進出しているが、6年前にシェイがトレードで加入した頃にはそのチームは解体し、翌年には再建期に入った。当時35歳の若いヘッドコーチ、マーク・デイグノートのもと、シェイを中心として主にドラフト戦力を少しずつ揃え、独自のカルチャーを築いてきた。こうして、平均年齢25.6歳の、強豪チームの土台が作られた。

連敗しない理由は「何も考えないこと」
小さな街のサンダーがNBAファイナルで対戦したのは、やはり小さな街の熱狂的なファンに支えられたインディアナ・ペイサーズ。シリーズ前、世間はサンダーが圧倒的優位だと見ていた。何しろレギュラーシーズンの成績は今季リーグ最高で、史上5番目の68勝14敗。ペイサーズの優勝を予想する専門家は少なく、多くの人はサンダーが4勝1敗であっさり優勝を決めると思っていた。
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