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【広島カープ】末包昇大29歳は“4番”になれるのか…新井貴浩が「4番目」のバッターと呼び続ける理由<新連載「鼓動」第3回>

2025/06/10
目下、本塁打と打点でチームトップの末包昇大。勝負強い打撃でチームを牽引する遅咲きの29歳を新井は頑なに「4番目のバッター」と呼び続ける。「4番」ではなく「4番目」。その真意とは――。(原題:[鼓動 新井貴浩と広島カープの2025年]第3回 ハートに火をつけろ)

 日曜日の甲子園がどよめいた。スタジアムの常連でも滅多にお目にかかれない作戦を敢行したのは新井貴浩だった。阪神タイガースとの首位攻防第三ラウンド、1点リードした試合中盤に好機がきた。ツーアウトながら三塁に足のある中村奨成がいて、打席には末包昇大が立っていた。末包はチームのホームラン王であり、チャンスに強い打点王でもある。おそらく左翼ビジター席を埋めた人々は、故障者が続出した春先の苦しい状況を救ってきた彼のバットに期待を込めていたはずだ。

 だが、カープベンチはここでホームスチールを仕掛けた。相手の先発ピッチャー伊原陵人の右足を高く上げて静止させるようなモーションの隙を突いたものだったが、瞬間的に4万2000人観衆の心拍数を上げたギャンブルの行方はタッチアウトに終わった。クロスプレーの余韻にざわめくスタジアム、残されたのは一つの疑問だった。なぜ、4番バッターの打席で――。

 カープはその裏に逆転を許して、そのまま敗れた。だから新井は試合後、本盗の是非について問われることになった。

「あれは事前にチャンスがあるということだったんで、思い切って行ったんですけど、私のミスです。自分のミスです」

 甲子園のベンチ裏でそう語った指揮官に対しては、4番末包の打席だったが、という疑問も向けられ、新井は「それも含めて、流れが変わったから自分のミスです」と責任を負った。このコメントを受けて在阪メディアでは概ね以下のような論評が展開された。

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photograph by Hideki Sugiyama

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