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カーショウ、シャーザーらが賞賛…MLBの潮流を変える“日本式”ピッチャー育成術「多くの球を投げ抜く力を育てる文化は素晴らしい」

2025/12/26
左からCC・サバシア CC Sabathia / マックス・シャーザー Max Scherzer / クレイトン・カーショウ Clayton Kershaw
試合終盤まで1人で投げ抜き、ワールドシリーズともなれば翌日も肩を作る。2025年に山本由伸が見せた圧巻の投球は米国球界を変えるかもしれない。全力投球を薦め、早い段階でリリーフ陣に後を託す分業制の時代から、先発が技術と体力を駆使して長いイニングを投げる日本式スタイルへ。その価値をメジャーで伝説を残してきたレジェンド投手3人が語る。(原題:MLBの潮流を変える「日本式」育成術)

 ドジャースのワールドシリーズ連覇で幕を閉じた2025年シーズン。何よりも誇らしかったのは、そのチームの中心にいたのが大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希の日本人選手3人だったことだ。日本野球の実力、立ち位置を示し、とりわけ身を粉にしてチームに尽くした山本の歴史的奮闘は、見る者を感動させ、専門家を唸らせた。

 ブリュワーズとのリーグ優勝決定シリーズ第2戦の111球3安打1失点完投勝利に続き、ワールドシリーズ第2戦ではブルージェイズ相手に105球4安打1失点完投勝利。ポストシーズンでの2戦連続完投勝利は、'01年にカート・シリング(ダイヤモンドバックス)が記録して以来24年ぶりの快挙となった。

 昨今、投手分業制が確立し、先発投手の投球イニングが年々減少している中で、山本の連続完投勝利は先発投手の責務再考に一石を投じるものとなった。

 今季、MLB全体で完投は29しかなかった。'01年の199と比べると1/7に近い。救援投手のタスクを増やした分、先発投手が投げるのは7回から6回、今や5回でも構わないという流れである。ポストシーズンとなればさらに拍車がかかり、4回降板もザラとなっている。その背景にあるのが、MLB全体に蔓延する『全力投球』を強いる考え方だ。

 フロントオフィスにいる数字の専門家は、選手を勝利へのツールとして捉え、まるでマシンのように扱い、起用する。短いイニング専門の救援投手だけでなく、先発投手にも全力投球を求め、継投での勝利を組み立てようとする。

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photograph by Naoya Sanuki / Getty Images

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