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《伏兵現る》「奥の深そうな勝ち方を見て…」ファンダムでダービー初挑戦・辻調教師が語る「落ち着きがありすぎたがゆえ」のトラブルとは?

2025/05/22
3月の毎日杯を制したファンダム
デビューから無傷の3連勝も、皐月賞を回避したダークホースが、4月下旬に満を持してダービー参戦を表明した。レースを重ねる度に見つけた課題を解決してきたトレーナーは、「挑戦するにふさわしい」と口にし、その期待感を漂わせる。(原題:[伏兵現る]ファンダム「巡ってきた運をモノにする」)

 調教師として開業してしばらく経ったある日、辻哲英に聞いたことがある。厩舎としての今後の目標は、と。こんな質問を投げかけると、普通は国内外の大レースや、リーディングなどのタイトルが挙がるものだが、辻の回答は少しばかり違った。

「自分は小学校の卒業文集で、将来の夢の欄に“厩務員”と書いていました。それくらい幼い頃から現実的な考えを持っている人間なんです(笑)。いきなり高い目標を掲げるよりは、地道に一歩一歩積み上げていきたい。その先にこそ大きなレースだったり、成功というものが待っているんじゃないかと思うんです」

 今年で開業5年目。毎年堅実に勝ち星を重ねながら、3月にファンダムでGIII毎日杯を勝って重賞初制覇。4月にはイミグラントソングでGIIニュージーランドTも制するなど、まさに絶好調といった印象だが……当の本人はいたって素っ気ない。

「ああ、よく言われますね。“最近調子いいね”とか。でもそのたびに、こう返すんです。『12月になったら見ててください。きっと年間の勝ち星は変わりませんから』って(笑)。自分は年の始めに管理馬の顔ぶれを見ながら、1年間の勝ち星をイメージするようにしています。これをしておかないと、焦ってしまうと思うんですよ。おかげで数年前には4月まで勝てない年があったのですが、まったく焦ることはありませんでした。逆も然りです。最初にポンポン勝てたからと言って、調子に乗ることもありません」

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photograph by AFLO

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