手に汗握り、度肝を抜かれ、感情をあらわに叫んだあのレース――。1年に1度の祭典の魅力が詰まった3大勝負を紹介しよう。
【1990 アイネスフウジン】19万人の「ナカノコール」。
話題は“レース後”でも、'90年ほど印象的だったダービーはない。優勝したアイネスフウジンが引き揚げてくるときに中野栄治騎手を称える大コールがおきたダービーである。
ときはバブル経済の只中。オグリキャップという異能のスターホースの活躍もあって空前の競馬ブームがおきていた。その象徴となったのがこの年のダービーで、入場者は史上最多の19万6517人を数えている。1階スタンドはうごめく群衆で波が起きていた。
'90年のダービー戦線は「三強」で展開していた。
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photograph by Naoya Sanuki