#974

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「自分ができないと思ってしまったら…」イチローが挑んだ“28年目の開幕”と50歳現役への思い…引退直前も続いた弓子夫人との朝食ルーティンとは?《インタビュー/2019年》

2025/04/20
2018年5月2日を最後にベンチを外れていたが、2019年2月22日にオープン戦で実戦復帰
前年5月を最後に公式戦から遠ざかっていたイチローが、2019年3月20、21日の東京ドーム開幕戦への出場を目指す。年齢に厳しい声もあったが「野球の研究者でいたい」という言葉通り、永遠の挑戦者は今日もオープン戦で試行錯誤を繰り返していた。(初出:Number974号 イチロー「ふたたび、戦いの場へ」 NumberPLUS「イチローのすべて」にも掲載)

 職業はプロ野球選手ではあるが、彼にとっての野球は生業ではなく、いとなみに近いものなのかもしれない。今もなお、イチローにとっての野球は、うまくなりたいという本能にのみ、司られている。

 2019年3月2日、サプライズ。

 ロイヤルズとのオープン戦に出場したイチローのフォームが、また変わった。去年の秋から取り組んできたヒザを折る形にこだわることなく、ピッチャーが始動してからのグッと沈み込む動作を早めたのだ。そのほうが自分自身、立ち遅れないと考えたからだった。とかく目に見える動きの変化は、それを“新フォーム”だと受け取りがちだが、彼のフォームにゴールがあるわけではない。イチローはその都度、必要に応じて営々とフォームを変えてきた。

 思えば、シーズン200安打を10年続けてきたイチローの記録が途絶えた翌年、2012年の開幕前にも同じようなことがあった。スプリングトレーニングの初日から、イチローがそれまでとはまったく違うフォームで打ち始めたのだ。

 体勢が低く、ステップが小さい。

 自然に立って構えていたイチローが、足を開いて、沈み込むようにして構えていたのである。ノーステップとも報じられたが、ステップはしていた。打ちに行くときの右足の動きを極端に小さくしただけで、ステップ幅そのものを広げたわけでもない。イチローはそのフォームが意図するところを当時、こんなふうに説明していた。

「そもそもスイングの仕方なんて変えられませんからね。考え方としては、ある動きを省いている、ということです」

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photograph by Naoya Sanuki

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