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「自分ができないと思ってしまったら…」イチローが挑んだ“28年目の開幕”と50歳現役への思い…引退直前も続いた弓子夫人との朝食ルーティンとは?《インタビュー/2019年》
職業はプロ野球選手ではあるが、彼にとっての野球は生業ではなく、いとなみに近いものなのかもしれない。今もなお、イチローにとっての野球は、うまくなりたいという本能にのみ、司られている。
2019年3月2日、サプライズ。
ロイヤルズとのオープン戦に出場したイチローのフォームが、また変わった。去年の秋から取り組んできたヒザを折る形にこだわることなく、ピッチャーが始動してからのグッと沈み込む動作を早めたのだ。そのほうが自分自身、立ち遅れないと考えたからだった。とかく目に見える動きの変化は、それを“新フォーム”だと受け取りがちだが、彼のフォームにゴールがあるわけではない。イチローはその都度、必要に応じて営々とフォームを変えてきた。
思えば、シーズン200安打を10年続けてきたイチローの記録が途絶えた翌年、2012年の開幕前にも同じようなことがあった。スプリングトレーニングの初日から、イチローがそれまでとはまったく違うフォームで打ち始めたのだ。
体勢が低く、ステップが小さい。
自然に立って構えていたイチローが、足を開いて、沈み込むようにして構えていたのである。ノーステップとも報じられたが、ステップはしていた。打ちに行くときの右足の動きを極端に小さくしただけで、ステップ幅そのものを広げたわけでもない。イチローはそのフォームが意図するところを当時、こんなふうに説明していた。
「そもそもスイングの仕方なんて変えられませんからね。考え方としては、ある動きを省いている、ということです」
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