#1115
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「真面目な河村勇輝がせっせと“ビタミン”摂取…」グリズリーズ“再建物語”の主役は敏腕GM…史上最年少“最優秀エクゼクティブ”は「何事にもテンプレートを用意する」

メンフィス市街のグリズリーズの看板
一昔前まで不得手だった育成部門が改善され、今や「主力の大半が生え抜き」となるまでチームが変わったのは、6年前のある人事がきっかけだった。(原題:[クラブ哲学に迫る]メンフィス・グリズリーズ「育成を支えるフロントとビタミン」)

 事の始まりは2019年4月11日に遡る。

 この日、メンフィス・グリズリーズのオーナー、ロバート・ペラはフロントオフィスの人事を刷新した。バスケットボール部門副社長のジョン・ホリンジャーとゼネラルマネージャーのクリス・ウォレスが降格。空席となったバスケットボール部門副社長にアシスタント・ゼネラルマネージャーだったザック・クライマンが任命され、フロントオフィスのトップに立つことになった。

 当時のグリズリーズは再建の真っただ中だった。“Grit and Grind”(困難な状況でも諦めずに日々努力を続けるの意)を標榜し、7シーズン連続でプレーオフ出場を果たしたグリズリーズだったが、'17-'18シーズンから2シーズンは下位に沈んでいた。

 フロントオフィスの再編発表は唐突だった。その上後任が当時はまだ無名の若者に過ぎなかったクライマンだったことで、メディアには場当たり的な人事と書かれ、ファンからも懐疑的な目を向けられた。進まない再建に不満なオーナーに振り回されて、グリズリーズのフロントオフィスは混乱に陥ってしまっているのではないか、と。

Tetsuo Kashiwada
Tetsuo Kashiwada

 ところが、そんな声を他所にクライマンは就任早々からその手腕を発揮していく。まずは6月11日付けでミルウォーキー・バックスのアシスタントコーチだったテイラー・ジェンキンスを新ヘッドコーチに採用すると、その9日後に行われたドラフトでジャ・モラントを指名。さらに長年チームを支えたマイク・コンリーを強豪への道を歩みつつあったユタ・ジャズに送り出すことで、モラントをフランチャイズの顔にする準備を整えた。

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photograph by Tetsuo Kashiwada

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