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「称賛と苦言が半々ぐらい」村上頌樹が明かす『岡田語録』から伝わった“信頼”…サヨナラ打に涙した右腕を救った言葉とは?【虎戦士インタビュー】
2024/12/07
マウンドを降りてくると、指揮官はいつも一言かけてくれたという。すれ違いざまに聞いた言葉も、メディアを通して目にした言葉も、若き右腕の大いなる指針となった。そして今季、調子が上がらない中、中継ぎに配置転換しても使い続けた事実こそ、信頼の証だったはずだ。(原題:[右腕の述懐]村上頌樹「語録から伝わってきた信頼」)
独特でキャッチーな言い回しと、歯に衣着せぬ物言い。虎党だけでなく、たくさんの野球ファンをとりこにした「岡田語録」。村上頌樹も、その“愛読者”の一人だった。
「ずっと見ていました。どんなふうに言われてんのかなって。全部見ていましたね」
もちろん岡田節にクスッと、笑っていたわけではない。
朝起きるとスマートフォンを手にし、指揮官のコメントがたっぷりと載ったネットニュースに目をやる。デーゲームならばその日の夜にスクロール。岡田彰布監督が阪神を率いるようになってから、自然と毎日のルーティンになっていた。
「自分たちに対して直接言うことは多くないですけど、記事を通して見ていると、野球に関しては本当に熱いんだなって。何が何でも、優勝したいんだなって気持ちは伝わっていました」
「信頼してもらえてるんだ、と思いました」
飾らぬ言葉は時に叱咤となり、時に背中を押した。
自信を手にしたきっかけもそうだった。'23年6月6日楽天戦。シーズン6勝目をかけて先発した村上は、8回を完投したものの、7安打4失点で2敗目を喫した。前夜のロッテ戦は5時間7分のロングゲーム。7-7の引き分けという結末を迎えるまで、阪神は岩崎優や湯浅京己ら7人のリリーフをつぎ込んでいた。前日が長い試合だっただけに価値ある投球だったか、と問われた岡田監督は真っ向から否定した。
「いや、昨日は関係ないやんか。村上はあれぐらいは投げられる。別にお前、勝ってたら、そらブルペン投げさせているよ」
スマートフォンの画面越しに思いを受け取った村上は、心が熱くなるのを感じた。
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photograph by Hideki Sugiyama