復活を期して9年目のシーズンを迎えるベテラン右腕と、昨季プロ初勝利からMVPまで上りつめた充実一途の25歳。仲良し師弟が理想のエース像から今季の抱負まで語り尽くした。
師匠は弟子を「頌樹」と呼び、弟子は師匠を「ヤギさん」と呼ぶ。5歳違いで仲のいい兄弟のようにも見える2人は、2023年1月の自主トレでコンビを結成した。今季も先発の柱として期待される両者は、自らのエース論から語り始めた。
青柳 僕は自分がエースだなんて思ったことは一度もないんだよ。記事で「エース奪還」と書かれたりするけど、そもそも1回も獲ってない(笑)。
村上 自分も、エースだと思ったことはありません。首位攻防戦の大事な試合を任されたり、チームの連敗を止めたり、そういう場面で勝てるのがエースだと思います。
青柳 実績だけじゃなく、周りに認められるチームの顔だからね。自分で自分のことをエースと思っていたら、僕は成長できない。エースになるための振る舞いを考えつつ、現役を終えた時に「阪神のエースは青柳だった」と言ってもらえる選手になりたい。現段階では、その年その年のエースがいればいい。去年は8勝止まりで成績が良くなくて、逆に頌樹が10勝、防御率1.75と活躍したから、頌樹をエースと呼ぶ人は増えると思うよ。
村上 去年、たくさん投げさせてもらえたので、エースになっていきたいなと思うようになりましたね。
メッセンジャー、能見篤史から青柳が学んだ姿勢。
青柳 僕がタイガースに入った時、エースだと思ったのはランディ(・メッセンジャー)と能見篤史さん。1年目にランディと話す機会が多くて、「どんな試合でも俺がいく」という気持ちが強かった。僕もそうだけど、ランディも「途中で代わるのがすごく嫌。投げるからには最初から最後まで投げたい」とはっきり言っていた。
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photograph by Nanae Suzuki