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「そこから毎日バントの練習です」田口壮が語る“ポストシーズンの勝ち方”と意外な“罠”とは?《カージナルスで2度WS出場、世界一も経験》

2024/09/30
カージナルスで世界一を経験している田口。現在オリックスの外野守備・走塁コーチと務める
名門カージナルスのスーパーサブとして随所で勝負強さを発揮し、2006年の世界一に貢献。一方、ポストシーズンならではの苦い経験も。厳しい戦いを勝ち抜く上で必要なこととは。(原題:[世界一経験者が語る]田口壮「ポストシーズンの勝ち方」)

「メジャーリーグの本番は8月の半ば……いや、9月に入ってからですよ。そこから気持ちとプレーの精度を高めながら、ポストシーズンに入っていきますから」

 そう話すのは、セントルイス・カージナルスに在籍した6年間に2度のワールドシリーズ出場、そして2006年には頂点を経験した田口壮だ。

「あの時代のカージナルスは、本当に強かった」

 田口がカージナルスのユニフォームを着てポストシーズンでプレーしたのは'04年から'06年までの3年間。合計8つのシリーズを戦い、6つのカードを制した。

「レギュラーシーズンにどれだけ勝っていても、ポストシーズンに入ったら完全にリセットですからね。'04年は105勝して、ワールドシリーズで負け。'06年は83勝でギリギリでポストシーズンに出られたのに、優勝したんですから。特に、最初に戦うディビジョンシリーズの第1戦、あの緊張感だけは忘れられない。先制点を取るまではダグアウトの中の空気がピーンと張りつめていて、誰も言葉を発しない。それがポストシーズンです」

ポストシーズンでの勝負強さが光った田口。代打や守備固めなど求められる役割を忠実にこなし、貴重なスーパーサブとしてラルーサ監督に重宝された Getty Images
ポストシーズンでの勝負強さが光った田口。代打や守備固めなど求められる役割を忠実にこなし、貴重なスーパーサブとしてラルーサ監督に重宝された Getty Images

ラルーサ監督から田口に下った“特別指令”。

 当時、監督を務めていたのは、1979年に34歳の若さでシカゴ・ホワイトソックスの監督となり、以後、オークランド・アスレチックス、カージナルスでワールドシリーズ優勝を3度経験するトニー・ラルーサである。かつてのアメリカの価値観を重視する「オールドスクール」を代表する指導者で、細かい野球を駆使した。

「強面なので怖いというイメージがあるかもしれませんが、選手に言うのは『プレイ・ハード』と『オンタイム』のふたつだけ(笑)。ただし、8月下旬くらいになると、僕には“特別指令”が下っていました」

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photograph by Naohiro Kurashina / Getty Images

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