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「今思い出すだけでもしびれる」元レッドソックス・岡島秀樹が語る“忘れられない最強打者”《ソーサ/ボンズ/松井秀喜》

2024/06/30
メジャー歴代9位となる通算609本塁打のソーサ(左)とは2打数0安打
メジャー通算266試合に登板した名リリーバーは、数多の打者との対戦で特に印象に残った3名を挙げた。サミー・ソーサ、バリー・ボンズ、そして松井秀喜――。マウンドでの緊張の記憶と、彼らの共通点を語る。(原題:[元レッドソックス左腕が選ぶ]岡島秀樹「忘れがたき3人の名打者」)

 私にとって、メジャーリーグ初登板となったカンザスシティ・ロイヤルズ戦は忘れようにも忘れられません。初球をいきなりホームランされたんですから。

 打たれたのが8番のジョー・バックという捕手で、外角低めにストレートを投げたらパーンとスタンドに運ばれました。相手は8番打者ですよ。この一発で「日本と同じように考えていたら打たれる」ことを実感し、対戦相手の研究をしっかりするようになりました。

内角のさばきが上手かったボンズ、ジーター。

 記憶に残る強打者は何人かいますが、印象に残っているのはサミー・ソーサとの対戦です。2007年、私がレッドソックスに移籍した年は、彼が通算600号本塁打を打ったシーズンでした。ちょうど私が彼と対戦した5月下旬は、彼の600号が近づいている時期で、彼の打席になると刻印されたボールに交換されていました。

 最初は、どうしてボールが交換されるのか分からなかったんです。そうしたら記念ボールになる可能性があるのが分かって……。記録や節目を大切にするアメリカらしいなと思うと同時に、打たれたくないと思いました。ただ、ボールの交換によってモーションに入るまでのテンポが狂ってしまうので、やりづらかったのを覚えています。

 ソーサとの対戦は、僕が1点を許して1点差に追い上げられていたこともあり、一発が出てしまったら逆転されるという緊迫した場面でしたが、0-2とストライクを先行させ、センターフライに打ち取ることができて、ゲームセット。ただ、ソーサってホームラン性の打球を打った時にぴょんと跳ねるクセがあるんです。そのときもぴょんと跳ねたので、「やられたか」と思ってヒヤッとしたことを記憶しています。'07年は結果的に彼のメジャー最後のシーズンとなり、この対戦は印象深いです。

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photograph by Getty Images / Nanae Suzuki

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