五輪代表選考会で「会心のレース」。
うれし涙が溢れて止まらなかった。
今年3月に行われた競泳のパリ五輪代表選手選考会。17歳の成田実生は、女子400m個人メドレー決勝で東京五輪金メダリストの大橋悠依を抑え、4分35秒40で優勝。日本水泳連盟が定める派遣標準記録を突破し、五輪切符を掴み取った。
レース後のインタビューでは、会場の声援に笑顔でこう応えた。
「パリ五輪代表という目標を達成できたことが最高にうれしくて。いろんな方が応援に来てくださり、すごく力になったので、喜びを一緒に分かち合いたいです」
決勝ではバタフライ、背泳ぎで大橋らに先行されたが、平泳ぎで一気に逆転。最後の自由形で逃げ切るという、持ち前の後半の強さを生かしたレース運びを見せた。
成田は「自分がやりたいことができた会心のレース」と振り返り、こう続けた。
「選考会には3つの目標を持って臨みました。優勝、派遣標準記録の突破、そして日本高校記録の更新。400m個人メドレーではそれを全部達成できたので、もう本当にうれしい気持ちでいっぱいでした」
2年で一気に飛躍、同世代の世界一に。
東京の下町・葛飾区で生まれた成田は、地元の金町スイミングクラブ(現ルネサンスKSC金町)で生後8カ月から水に入り、「物心ついたら毎日プールに通っていました」。幼稚園の年長クラスのときにはすでに選手コースに入り、大会にも出場するようになった。
だが、成田は幼少期から飛び抜けて活躍していたわけではない。小学生時代も全国大会には出場していたが、目立った成績は残せなかった。地元の常盤中に進学後も、1年時は全国中学水泳競技大会の200m個人メドレーで予選15位に終わり、400m個人メドレーは出場すらできていない。
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